スクラップ

  「スクラップ」


無遠慮な夏の陽射しの中で

僕達は別れた

君はトビリシへ

僕は暗い心の底へ

お互い振り返らずに

下を向いたまま別れた


僕がスクラップになったのを

君は随分気にしていたけど

別に君のせいじゃないさ

元々そうだったのに気付いただけ


浅野川の海鳥達が

元居た場所へ帰って行く

僕はニコチンを肺に溜めながら

ずっとそれを見ていた


錆びついたロボットと

スタイリッシュな渡り鳥

共に生きていける場所は

何処にも無かった

ただ、それだけ


無様な僕の夢の中では

二人は自由で

燃えるガラスの瞳も

淡雪の如き唇も

余す所無く

受けとめる事が出来たのに


哀れなスクラップの眼に映る

世界は全て灰色で

君を引き止める事も出来ず

深海へと墜ちて行く……独りで


浅野川で羽を休めた鳥達が

海へと帰って行くよ

僕はずっとそれを見ていたんだ

ずっと見ていた

ずっと……

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