第2話 性欲の塊、女子中学生を妊娠させる!

 朝の訪れを告げる小鳥のさえずりが聞こえてくる。


「う、う~ん。ここは・・・。」


 風間が目を覚ますと、そこは木の上だった。雀が3羽、性欲の塊と化した風間の上で羽を休めている。

 彼は家を出てから誰にもその姿を見られないように、山の中へ隠れることにしたのだ。


「そうか・・・。俺はもう家を出たんだったな」


 彼の頭の中にふと泣きじゃくって離れたくないと言った妹の姿がよぎる。しかし彼女ともう会うことはできないだろう。


 両親に家を出るように宣告されてから丸一日が過ぎたのだ。今頃両親は警察と保健所に風間がPBVに感染したことを連絡しているだろう。そして彼らは風間を捕まえるための職員の編成をしているはずだ。微光教の作成したウイルスはそれほどまでに恐れられていたのだ。

 PBVも今は致死性がないため直接の危険はないとされているが、5年10年たってからもこのウイルスが致死性を持っていないとは誰も言うことができない。通常のウイルスが持つ遺伝子構造とはまったく異なる3重環構造をしたPBVの遺伝子が、どのような働きをするかは現在の医学では予想もつかないのだ。


(このままこの山にいれば捕まるのは確実・・・。さてどうやってフランスまでの道のりをつなぐか)


 風間はそう考えるとその肉の塊の体を動かして木の枝から枝へと移り、東を目指す。彼の中でフランスへの逃亡計画はあらかた決まっていたのだ。

 彼のようなPBV患者は間違いなく飛行機には乗れない。そもそもその姿を誰か市民に一目見られただけで、通報は間違いない。微光教ウイルスの感染者を見逃すだけでも感染者逃亡補助罪が適用される。そのため電車にも乗ることは難しい。風間は結局、誰の手も借りず、正規の移動手段を一切使わずにフランスまで行くしかないのだ。すなわち密行である。

 国内の移動手段としてはトラックなどの貨物車両を狙ってその荷台に侵入し、そして国外へは輸出用船舶を狙って密航する。一切の他人と顔を合わせずに海外へと逃亡する唯一の手段だった。

 風間は木の合間を縫いながら東にある高速道路を目指していた。パーキングエリアまでたどり着けば、停止しているトラックへ乗り移る機会があるかもしれないという算段だ。


(無謀なのは分かってる。だが何もせずに実験動物になるのだけは嫌だ・・・。)


 風間がここまで必死になって逃亡を図るのには訳があった。強制収容所だ。

 風間の父親は強制収容所で働く医者だったのだ。父は風間がPBVに感染する以前から、その収容所の中がいかに酷い冷徹な環境かを家族に愚痴をこぼしていた。

 収容された微光教ウイルスの感染者は、収容施設の中では完全にモルモット扱いだった。将来的なパンデミックが起きる前にウイルスを抑えるワクチンを開発しようと躍起になる政府。

風間の父親によると、彼らは感染者へのいかなる人体実験をも許可するという特別法を秘密裏に制定したというのだ。感染者は劇薬の投与、効果の見込みのない薬剤の過剰試験、外科手術による患部組織の大規模切除など、とてもではないが目も当てられない玩具として扱われているそうだ。施設内では悲鳴とすすり泣く声が跋扈しているという。

 両親が妹を妊娠させるまで風間を通報しなかったのも最後の親心であった。


(とりあえずは東に進もう。そのうちに高速道路が見えてくるはずだ)


 風間は手足が奇形化してできあがった4本の触手を巧みに操り、木から木へとスムーズに進む。時には枝から枝へ這いずり、時には跳び移って見せた。

 1時間も進むと、そこには高速道路が見えた。


(これは・・・。料金所か)


 そこにあったのは高速道路の料金所だった。

 いかに未来的技術が発達してきた世の中といえども、いまだに車の完全自動運転への移行も終わっていない。同様に、高速道路における自動料金支払いの仕組みも全車両が持っている訳ではない。これは風間にとってみればチャンスであった。


(うまく手動での料金払いの大型車を見つければ、パーキングエリアまで楽に移動できるかもしれない・・・)

 

 風間はそう考えると、料金所の近くの木の枝へと移動する。車内の人間が確認できるほどに近づくと、そこで動きを止めて機を待つことにした。


(チャンスはそうない。狙い目は大型のバン程度ならなんでもいいか)

 

 性欲の塊から伸びる触手はペトペトとした粘着性を持っており、たとえ車両の上に乗ったとしても落ちることはないと彼は踏んでいた。

 10台20台と車が通りすぎていくが、なかなか彼が上に乗ってもその大きな球体を隠してくれそうな大きな車両が通らない。

 だがあせる分けにはいかなかった。もし通報をされれば風間が逃げ切れるかどうかは分からなかった。

 そして待つこと1時間ほどすると、そこに一台のワンボックスカーがやってきた。

 中にいるのは大人の男女が1組と、後ろの席に中学生か高校生ぐらいの子供が1人。


(しめた。これならいける)


 風間は素早く、木の枝から飛び出しそのワンボックスカーに向かって飛び乗ろうとする。

 彼の飛行能力を持ってすれば、4m程度の距離を飛行するぐらい訳がなかった。

 が、その飛行の最中に風間にも予想のできなかった思わぬ自体が起きた。


(な・・・!か、かわいいじゃないか・・・。)


 ワンボックスカーの後ろの席に乗っている女の子である。風間よりも少し年下にみえるその子は、下を向いてなにやら雑誌を読んでいるようだった。

 その横顔はスラッとした鼻筋と小さくまとまった顎のラインを形成している。そして髪をまとめた2本のおさげがどことなく幼さを感じさせ、風間は妹が成長したらこんな感じだろうかと考えてしまった。

 通常ならかわいい娘が一人いるだけなら、なんてことはない。だが彼はPBV患者だ。

 PBV患者は性欲は増強され、たとえ妹であっても人間の射精に相当する遠隔妊娠の射光をしたい気持ちからは逃れられない。風間は今や性欲の塊なのだ。

 風間の脳裏から子孫をこの娘と残したいという気持ちが湧き上がってくる。


(いや・・・だめだ!そんな身勝手な!それは完全にレイプだ・・・。だけど発射したい・・・ああ、ばれなければ・・・。いや光を出したらばれるかもしれない)

 

 本来の風間であれば絶対に迷うはずのない選択が彼の思考を支配する。いまや平均的な人間の20倍の性欲を持つ風間。性犯罪常習者の平均的な性欲が平均的な人間の5倍程度であることを考えると、それはもはや抗うことの決してできない性欲だった。

 

 風間の目から涙がこぼれる。絶対にしてはならないと分かっているはずの鬼畜の諸行。レイプをするやつなんて人間ではないと考えていた正義感の強い風間にとって、彼女に射光をしたいという願望が沸いているこの状況は耐えられなかった。

 だが、ワンボックスカーに近づくたびに彼女のより繊細なかわいらしい顔が、そのみずみずしい肌が、大きな目をした小動物のような目が、あらゆる性欲を刺激する少女性を持ったパーツが確認できるようになり・・・・・・限界が訪れた。

 車の中の彼女が靴を抜いで片足を上げた瞬間に、彼女の白く細長い足が現れる。その華奢なきめ細かい肌をした足のつけね辺りには白い三角布の一部が見て取れた。


(あ・・・ああ。ぁぁぁぁあああああああああああああ!)


 瞬間、風間の頭の中に閃光が走り、爆発したかと錯覚する快感が脳の裏側で弾ける。それと同時に彼の体表にある遠隔妊娠光源からワンボックスカー内の彼女に向かって、特殊な光線が発射された。

 ぴん!ぴ、ぴん!ぴんぴん!ぴん!

 じーんとした心地よい感覚と、散発的に弾ける快感の度に彼女の晒け出された太股部分に向かって光線が放たれていた。

 連続的に放たれる遠隔妊娠光線が彼女の体表を透過すると、彼女の血中に彼の遺伝情報を乗せた遺伝伝達ファージが形成される。目には見えない極小の悪魔。それは血液中を循環していずれ彼女の胎内へと届くだろう。もはや彼女が彼の子供を孕むことからは逃れることはできなかった。

 ぴん!っぴんぴん!

 2度、3度と遠隔妊娠光線が放たれ、それに伴う圧倒的な気持ちよさが脳内だけでなく風間の全身を震わせ始める。力が抜け、思うように飛行の制御ができない。

 風間は射光をし続けながらそのまま転がるようにワンボックスカーの上に飛び乗りこむと、触手状の手足を車の屋根に貼り付けた。

 幸いなことに今度の遠隔妊娠光は妹の時と異なり、不可視光線だった。恐らくPBV患者としての成熟が進んだ結果だろう。


(うぅ・・・ぐぅぅ・・・・。ごめん、ごめんなさい)

 

 すすり泣く風間の声を誰も聞くことはない。

 ワンボックスカーの中では何も知らない少女が雑誌を読みつづけている。

 料金の支払いを終えると車は次のパーキングエリアに向かって走り出した。





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妊娠レコード


風間看歩かざまみほ

妹:小学5年生 自宅で漫画を読んでいる最中に妊娠


福原忍ふくはらしのぶ

中学2年生 両親と旅行中に高速道路上で妊娠


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