花嫁が家を出るぞ。さあ、婚儀だ

 結婚式を迎える花嫁、伝統の結婚式、心に残る感情……和の空気に縁取られたそれらが見事に合わさり、過不足なく物語を表現し、結末を導いていると思います。こういう和風作品は大好物です。
 感情を詳しく重ねて書いていないのに、主人公が抱いた感情のどろりとした深さがそれとなく伝わって、確かにこの人鬼の花嫁だわ、と思いました。嫁ぎ先がわからないままなのもいい。そんな結末の想像の余地があることも、この作品の魅力じゃないでしょうか。