原点回帰のハイファンタジー+α

第1部読了。

やっぱり生粋のファンタジーといえば、僕にとってはテイルズとかデルトラクエストあたり。この作品にはそれに加えて切なさと愛情が織り交ぜてあります。
最近だと「異世界転生ファンタジー」が台頭しているせいか、こういったハイファンタジーは探さないとなかなか見当たらない気がしてます。そういう意味での原点回帰。
何が違うのかと言われると、現代知識を使わないところでしょう。架空の種族、掟、術、言葉などなど、この世界における常識を全てを一から作り上げていく必要があります。そういった世界観がしっかりしているからこそ、安心して読めるのだと思います。覚えるのに時間はかかりますけどね。

シグリドとファランが中心となる物語ですが、この時点で僕個人としては、シエルとディーネの悲恋がとても印象に残りました。というよりこれが第一部のメインポイントでしょう。そしてシグリドの生きざまに大きく影響していく。
シエルかっこいいねん。そして彼を思うディーネの健気さと儚さが最高やねん。そして兄ロスタルも…
その他のキャラの心情もわかりやすく、まさに群像劇。

地の文章も読みやすいです。綺麗と言ってもいい。たまに心の声だなと思うものが突然入ってきたり、視点が変わったりしていますが、そこは群像劇を意識しているからなのでしょう。視点移動はタブーという人もいるらしいですが、同じシーンであっても改行2~3つで視点を切り替えていくやり方は、せわしくあっちこっち移動しなければアリかなと思いました。
決して戦闘メインではないと思いますが、戦闘描写ももう一工夫ほしいかも。

ゲームっぽい異世界ともまた違う、どこか懐かしくファンタジーで重厚なストーリーです。

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