第8話メッセージをどう書くか

 私自身の作でどうなっているかは無視してください。

 地の文でも、セリフでも、作者が言いたいメッセージを書くのは悪手です。

 状況、表現によって、読者が読みとるようにするのが望ましい。もちろん、それだと読み取られないかもしれません。ですが、そこでメッセージを書くのは逃げです。読み取れるように状況や表現を作りましょう。そして、可能なら、読んでいる最中にはメッセージにはまったく気づかないようにしてしまうのが最良です。読み終わって総括した時に、あぁそういうことなのかもしれないと気づくのが最良です。

 さて、この最良なのと、悪手なのの間には、実ははっきり目に見える違いがあります。大雑把に言えば、最良な場合、作中のあらゆる場所に分散して書かれており、隠れて書かれており、背後に書かれています。もちろん、それは書かれていないと書くこともできます。

 それに対し、悪手なのは、「ここに書いてある」と指差すことができるものです。

 なぜ、それが悪手なのでしょうか。話は簡単で、描写とかについて書いたのと同じく、「こう思え」と読み手に押し付けてしまうからです。あるいは、もっと単純に言えば、白けるからです。

 メッセージは存在しなければなりません。それと同時に、存在してはなりません。

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