第1章 第3話 模擬戦①

話を遠巻きに聞いていた劉備が推測するに村々の数ある自警団の集団的な指揮権を懸けた戦いを間近で見ることにした。

少し移動をして戦場を見渡すことのできる小高い丘まで来ていた。

状況を見るにどうやら決勝戦の様である。


劉備のいるような小高い丘が二つあり、それぞれに40人づついた。

皆々頭に鉢巻きを巻き、これが取られると戦死扱いとなるようだ。

大将の鉢巻きが取られると負け、守り抜けば勝ち、何ともわかりやすい。


流石に戦場となる草原のど真ん中にはおられず少し外れた所に移動した劉備は今かと戦いを見守った。

間もなく太鼓が3度鳴り響いた。合戦開始の合図だった。


蘇凌たちは作戦通りに兵を3手に分けて進みだした。


中央では蘇凌と甘琳が敵の主力が衝突していた。

兵数はわずかに相手の方が多いようだったが奮戦をして互角の勝負をしていた。

大将である蘇凌に兵士が殺到したがこれをよく対処していた。


敵の大将は業を煮やし自分自身と追加の兵を送り込み決着をつけようと進み出た。


劉備が熱中して戦いを見てると後ろに2人の人影が現れた。

城を出前まで一緒に仕事をしていた簡雍と赤面の長い髭を生やした武将がいた。

義弟の関羽であった。


劉備

「なるほど、2重の伏兵か子供の割に考えているな…。」


関羽

「兄者、ここにおりましたか。」


劉備

「だーっ!!いきなり声かけんな!驚いただろう!!」


簡雍

「俺にばっかり仕事おっつけてずるいぜ玄徳。」


劉備

「雲長に憲和か、今いいところだ。文句は後で聞く。」


簡雍

「これは何だい?ガキの喧嘩にしては規模がでかい。」


関羽

「少年兵が兵役前から訓練か、徐州の兵が強いのはこういう一面もあるのやもしれませんな。とくと拝見しよう。」


3人は戦いを見守った。



敵の大将は前線へ歩を進めた。

少し進んだ時のことであった。左方から横槍が入った。

太史衛の伏兵である。

太史衛はわざと大声を出して敵大将を守る集団へ飛び込んだ。

敵の大将は慌てふためいて前衛と周りの兵にを集めようとした。

そこにすかさず蘇凌たちは前衛の兵の後ろから追い打ちを仕掛けた。

敵の兵士は大混乱した。そこへ太史衛とは反対の右方より彪淵が飛び出した。


彪淵は慌てふためく敵大将を木槍で一薙ぎ。

無事に大将の印字のは言った鉢巻きを確保した。




丘の上では蘇凌たちが肩を組み合わせ喜んでいた。


劉備

「こうやって喜んでいるのを見ると旗揚げした頃を思い出すな。」


簡雍

「懐かしい話だな。」


関羽

「我々も少ない兵でこうして考えて戦ったものですな。」


劉備

「よし、降りてみよう。」


劉備は丘を降りた。

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