大雪

朝、起きると天気予報がやっていた。

『今日は大雪です。外出は控えましょう!』

どうせ、東京で『大雪』なんてタカが知れてる。

雪国育ちの俺は無視して会社に向かった。


外に出ても、曇り空だが雪どころか雨さえ降っていない。

ところが、大通りにでても車も人も全くいない。

『まさか、みんな天気予報を真に受けてるのか?』

そう思った瞬間、空から何かが降ってきて道端に駐車してあったママチャリを中心から真っ二つに切断した。

「な、何があったんだ!?」

見ると、直径30cmほどのキラキラ光る鋭利な円盤……いや、六角形をしている……がフレームを見事に切り裂いている。

俺はそれが巨大な『雪の結晶』だと気づいた瞬間、血の気が引いた。

あわてて、今来た道をダッシュで引き返す。

その直後、バラバラと音がして次々と巨大な雪の結晶が降り始めた。

結晶が電線を引きちぎり車や家々の屋根に突き刺さると、あちこちの家から悲鳴が上がり町の様相は一変してしまった。


……俺は全力疾走しつつ、雪の結晶をよけながら思った。

『天気予報って当たるんだなあ』


(了)

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