第1話 ――カクヨム、オープン――そう、この頃の私は、――純粋だった。




――まだサイトオープンしないのかよ、早くしてくれよ。

こちとら朝からずっと待ってんだぞ。



二月二十九日。


なかなかオープンしないカクヨム公式。

午前11時を回り始めたあたりから、私もイライラとし始めていた。




そして――午後2時。


「オープンしたぞ」の書き込み。



おおッ!!



マウスを握る手が高ぶる。

更新をクリック。




現れる、カクヨムの新世界――!!




おお……

こういうUIか

いわゆるオシャレ系か……?

こういうのもあっていい。

書店をイメージしたものか……

この検索の不自由さが……

あらたな本との出会いを演出する、と言う訳か……

なるほどな、一見オシャレ系を装いつつも、

妥協せぬ職人魂がそこはかとなく見え隠れしておるわい。

なかなかやるではないか。


――できておるのう、カクヨム。



などと、とりとめも無いことを思いながら、

私はカクヨムを夢中になって飛び回り

多くの作品を読み散らかしていく。



――ふむ、さすがは昔のベストセラー作家、上手いものだ。あのころのドラゴンマガジンは宝物だな……。

――これは、エッセイか。妻が精神病……? 幼子を抱えて……、こういう人生もあるのか……。

――ほう、横浜駅が――考えたな。ちと私の投稿しようか迷った作品と似かよる部分があって焦ったワイ。

――転生モノはやはり当初からの予想通り大盛況のようだな。なかなか質も高いと見える。――な○うとは違うというワケか。

――私の大好物の硬派な歴史物が、かなり豊富で嬉しいのう……、フルプレートメイルは男のロマン……。美男剣士美男武士モノはノーセンキューっと。





――そう、この頃の私は、――純粋だった。

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