現実とは悪魔だ、運命とは作為だ、奇跡とは絵空事だ。(4)


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 偽善。きっと、あいつの事をひとつの言葉で表すのならば、そういう言葉が似合うのだろう。

 綺麗な言葉は誰でも言える事だ。綺麗事なら誰でも簡単に並べられるものだ。

 だからこそ、人間なんて信用できない。信じられるのは、結局自分だけだ。

 だってそうだろ?

 こんな状況、助かるわけないじゃないか。

 黒神白夜は偽善者だ。他のヤツらは、そのカラっぽの偽善を崇拝するタダの馬鹿だ。

 そんな奴ら、早く怪物に喰われて死ねばいい。

 俺は自分の生き方をするぜ?

 汚くてもいい。こすくてもいい。卑怯でもいい。

 結局、突き詰めれば、人は自分の為に生きているのも同然。当然、依然として全然信頼というものは人間の心の中には無い。

 あるようで、ねえんだよ。結局人間てのは、未熟で醜い生き物なんだからな。

 ああ、自己紹介がまだだったかな。

 俺の名前は沖野おきの鷹尋たかひろ。ただの醜い、人間さ。

 怪物の島に流れ着いた時は、はっきり言って絶望した。もう俺の人生これでわりか。しみじみそう思ったね。

 クラスメイト達はみな勝手な事を言いやがる。現実は、確実に俺達の心を蝕んでいってるっていうのによ。

 現実なんて所詮、人の期待を踏み躙る悪魔も同然なんだぜ?

 それなのに、何が『現実を直視しよう』だ。 テメーらは、自分を破綻させる怪物に面と向かえるのかよ? できねえクセに、逆上のぼせあがってんじゃねえよ。そんな奴等は早く悪魔に心を盗られればいいんだ。

 そういえば、あいつら、どうしてるかな。死んでればいいなぁ。だってアイツら、カスだから。

 何で俺は人間なんかになったんだろう。こんな醜い生き物、なりたくなかったぜ。

 自分の本能に蓋をして、腐り腐って、最終的には発酵しきって酸っぱくなった腐れ脳ミソの持ち主になっちまう生き物なんて、早く絶滅しちまえばいいのによ!

 臭いものには蓋をしろ。無理を通して道理を引っ込ませろ。急ぎは回るな。二兎は同時に撃ち殺せ。仏は魂入れなくとも形はあるんだ。蛇足はするな。人の会話に水をさせ。憎まれっ子は憎まれ滅び、悪事は千里を走らない。

 社会は止まった時計と同じ。人はチェスの駒と同義。人生はゲーム。人生ゲーム。

 強い者が勝ち、弱い者が滅ぶ。弱肉強食、強者絶対。強さこそ価値、強さこそ勝ち。

 俺は進化の真価を知りたい。だから俺は、人間をやめたい――

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