謎が、じんわりと“溶けて”いく。

幼い頃の後悔だとか、失敗は案外大きくなっても心のどこかに引っかかったまま、一緒に育っていく。
その辺りの描写が素直に上手いな、と感じた。どことなくリアルで、程よくドラマチックなそのバランスも素敵。

何気ないエピソードに挟まれる子供っぽい「なんで?どうして?」といった微かなミステリー、そしてそれらを少しずつ解き明かしていく過程は、間違いなく日常の謎モノだ。

個人的には真相に物足りなさも感じたのだが、それはおそらく、この物語をミステリーとして読んだときの感想なのだろう。
メインを、少女の抱える後ろめたさが柔らかく“溶けて”いくストーリーだと捉えると、ちょうどいいかもしれない。