第4章【クラン大抗争】3節【闇の者】

「ん~、あちらにいくには飛び越えるしかなさそうわね。」

一向に数を減らさない孤独神ソーマ・テラリア構成員の人垣を、敏捷と力補正全開にして飛び越える。といってもそれだけでは敵のど真ん中に着陸することになるため、2段跳びを可能にする補助系武芸スキル【鷹影たかかげ】でさらに跳躍する。

「なあ姉貴、やっぱりこれに闇派閥ダーク・テラリアが割り込んでんのか?」

聖騎士パラディンという職業柄ジョブのおかげか、コウガは気づいたようである。レイナと同じように鷹影を使って跳んできた。それでアキとハルヒも察したようで、風術系補助スキル【風華かざばな】で飛んできた。

「団長。何か気づいたんですか?」    「なんですか~?」

「この抗争の裏に、十中八九、闇が関わっているわ。私たちはどこかに隠れているはずの闇側の者を探すのよ」

「え!闇竜に協力する組織が今回の抗争に介入しているんですか?」

「そうだ。聖眼を起動したら、黒いオーラがみえたから。ほぼ間違いない」

副指揮官コウガさんに見えたのであれば、間違いありませんね。」

聖騎士パラディンに限らず、職業ジョブ特性というものはスキルがなくても使える特殊能力である。ただし1人に1つしかない。

「こいつらの追撃いなしながら探すぞ!補助系探知スキル【風読み】発動しとけば十分だからな!」

【風読み】は、周囲の気流から、存在を感知するスキルである。気流を読むので、【隠蔽ハインディング】も効果がない。熟練度が高ければ、小さなものまで感知できるようになる。ある意味【索敵サーチ】と似ている。

コウガは職業特性【聖眼】、他3人は【風読み】を全開起動はつどうし,追いかけてくるソーマ・テラリア団員達の攻撃をいなしながら全力疾走。大街道を駆けていると、今度はレイナが唐突に他3人の疾走をやめさせる。

「みんな、ちょっと止まって………そこにいる人、でてらっしゃい。隠れてるのはわかってるのよ。出てこなければこっちからいくけど」

探知スキル【風読み】と【気配察知】の応用で、【隠蔽ハインディング】により隠れている人物が闇側の者だと判明している。レイナがその言葉を発して数秒。景色がゆがみ、虚空から黒ローブを被った男が姿を現した。

???「ふふ、また会ったな。スキル応用の腕前…たいしたものだ」

どうやらあの時会った男と同一人物らしい。アキが鋭い声で言った。

「どうしてこのテラリア大抗争に介入したのですか?」

「その方が闇竜ニドヘグ様に提供する力を集めやすかったからさ。憎しみと殺意が渦巻く戦場は、闇のオーラが集まりやすいからだ」

「そんなことやすやすと俺らに話していいのか?」

「別に、話したってあなたたちがすぐ忘れてしまうからね。こんな感じで」

コウガが問い返した声に、男が答えた直後。男がかざした両手に、闇色の光球が作り出されていく。反射的にコウガが反応し、アイテムボックスから聖属性の大楯を取り出して闇球を防ぐように掲げる。直後、物凄い衝撃波が4人を襲った。

「うくっ……」「あわっ…」「さすがにこれはっ…!」「嘘っ…!?」

コウガの持つ大楯は古代級エンシェントランクで、壊れはしない。が、衝撃波までは無効化できない…! 耐えきれず吹き飛ばされる。

闇竜ニドヘグはここまで回復してたわけ…!?さすがにまずいわね!」

今回はイルメリアの市街地。闇の男と4人の戦士の戦闘が幕を開けた。






次回→4節【闇の手先との戦い】                END








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る