Scene00「プロローグ」+Scene01「神々の見守る地で」

【メタリックガーディアンRPG二次創作】


[Nameloss・M]


Scene00「プロローグ」


―――イヅモ特別区鳳市高校2-1組最後列窓際。


 小さな事かもしれないが、幸せというのは大抵余人にとって理解し難い、あるいは“とてもどうでもいい類のもの”である事の方が多い。


『え~この第一次世界大戦時における技術進歩が人類にとって現在も大きな脅威となっている―――』


 つまり、常連になった店で頼んだツマミに少しだけ色が付くとか。


『その教訓が生かされなかったというのが各国の共通した歴史的に認めた事実であり―――』


 通っていたバッティングセンターでホームランしてしまうとか。


『という事で、第二次大戦は結局のところ今も大きな爪痕を残し―――』


 道端の自販機で釣銭を取ったら、誰かが忘れていったのだろう硬貨が二枚程増えていたとか。


『我々は世界情勢を左右する大きな存在感を―――』


 平和な日々をつまらない学校の授業中に春の日差しを借りて満喫エンジョイするとか。


『そこの君!! もう少し真面目に授業を―――』


 そんな事だ。


 然して、重要には思えないありふれた日常の中に埋もれる一場面ワンシーン


 それが程度の差こそあれど、幸せというものに繋がっている。


 生活に息衝いているのだ。


 世界の情勢がどうあれ。


 教師の講義がどうあれ。


 学校の成績がどうあれ。


 人間というのは言う程、身の丈に合わない願いを幸せとは思わないものなのだ。


『職員室に来るよう担任―――』


 キーンコーンカーンコーン。


「………あふぁ……んぅ……?」


 外を見上げれば、春の日差しも麗らかな大空を黒い鋼の巨人スーパーロボットが飛んでいた。


「平和だ……」


 呟けば、ようやくのように奈落獣アビス警報が学校全体に響き渡っていく。


 そう、世は今や機甲暦アーマード・センチュリー


 世界が超技術の汚染と国家の軋轢で分断される中。


 人々は自らの正義に殉じて戦う者達とその愛機を一つの名で呼んだ。


 ガーディアン。


 守護神とも神の如き機械だともされるソレを駆って戦う者達がいる限り、平和はきっと守られるだろう。


 それが如何に大きな代償を払う【幸福フォーチュン】なのだとしても……。




Scene01「神々の見守る地で」


 時代が今のような形に落ち着いたのは凡そ五年前。


 太平洋の中央に位置するエルジア大陸に興国劇が起こった事に起因する。


 ラーフ帝国。


 そう彼らは名乗った。


 天才科学者であったラーフ博士と周囲の研究者達が第一次大戦後も第二次大戦後も復興の遅れた大陸を放置した連邦に対し、叛旗を翻したのだ。


 彼らは瞬く間に大陸の大半を制圧。


 その後、第一次大戦時に使われた禁断の力。


 奈落技術アビス・テクノロジーを用いた兵器の数々を戦線に投入して防衛力を肥大化させた。


 その為、地球の諸勢力は大戦を主導した宇宙移民者代表であるヴォルフ共和国と地球連邦……そして、異世界からの侵略者や異邦人エトランゼが其々に跋扈して混沌と秩序を孕みながら、冷戦の形で事態が膠着。


 人間同士の争いも未だ火種として数多の国で爆発の時を待ち侘び、燻っている。


 そんな中で一際目を引くようになったのが東洋の島国イヅモ特別区だ。


 第一次大戦時に活躍するようになった人型ロボット兵器。


 “ガーディアン”


 古代遺跡から発掘された自立金属細胞“ALTIMA”によって駆動する短期決戦の切り札は数多くの国家がこれを開発し始めた事で本来的な役割を果たす事が出来ず。


 第一次大戦は更なる泥沼の地獄と化した。


 これらの要因となった遺跡からの資源回収は各国が躍起になる分野でもある。


 イヅモはその最大手。


 重要物資、重要資源の埋蔵地帯だった。


 第二次大戦後も需要は大きく。


 その利権を狙って多くの人々が訪れる場所。


 それが特区の中でも最大級の地下遺跡が眠るとされる鳳市だ。


 主な産業は“ALTIMA”関連の貿易とそれを用いたロボット関連技術の開発。


 人々は付け狙われ易い場所でありながらも、彼らを守る者達を信頼している。


 ガーディアンはただの機械ではない。


 物理法則すら捻じ曲げる奇蹟としか呼び様の無い能力“加護”を秘め、機体を扱い得る存在リンケージによって、普通の機械とは比べ物にならない性能を発揮する。


 その存在は現代における最大の兵器であり、力であり、軍事力であり、時と場合によっては信仰ですらあるかもしれない。


 故に人々は自らを守る鋼の守護者達への協力を惜しまない。


 その為、市井が積極的に避難の雑務と犯罪に対する防衛策、環境を整えた鳳市は諸勢力に狙われていながら、今現在も活気に富んでいるのだ。


 そんな港も近い住宅街の傍に鳳市高校はある。


「いいか。早めに帰るんだぞ! 近頃、またテロが増える傾向にある。用事が無い場合は速やかに下校だ!! 繁華街に行くなとは言わないが、遊ぶのも程々にな!!」


「はいは~い。センセって、ホント心配性だよね~」


「ね~♪」


 花も恥らう姦しさで女生徒達が放課後の校門を通り過ぎていく。


 富永サブロウタ。


 厳つい顔の独身34。


 熱血を絵に描いたような世界史担当は必ず竹刀を常備する。


 上にタンクトップ、下にジャージの姿からは体育会系としか思えないのだが、授業はとても熱く詳しく語る為、大抵の生徒達からは信用出来る教師として信頼を受けていた。


「バイトはいいが、程々にな。さくら屋にも学校側から伝わっていると思うが、まずは自分達で身の回りから防衛するのが筋というものだ。いいな?」


 下校途中、急いでバイト先に向かう生徒へ声を掛けながら、サブロウタは目当ての相手が生徒達の中に混じっていない事を確認して、深い溜息を吐く。


(あいつ……また後ろから出たな……)


 校門から真逆。


 学校の裏通りには教師や来校者を迎える勝手口と裏門が存在する。


 侵入者対策に監視装置の類はかなり設置しているのだが、それらのセキュリティーを難なく突破して消える常習犯。


 否、強者も存在する。


 どうやってセンサー類を掻い潜って、映像や数値にも残らず逃げ遂せるのか。


 まるで分かっていないのだが、鳳市高校にも幾つか秘密というものがある。


 出来れば、“穴”を教えてくれと嘗て言ったサブロウタに逃げ遂せた達人(まぁ、男子生徒なのだが)は一つの条件を出した。


 セキュリティーの穴は教えてもいい。


 しかし、校門から帰らない時は見逃して欲しい。


 これを泣く泣く飲んだのは彼もまた高校の秘密に携わる人間としての自覚があるからだ。


 普通、そんな事をすれば逃げられなくなるだろうと思うかもしれないが、穴は一つではないらしく。


 その生徒以外には出来ない芸当でしか抜けられない穴は未だ存在していると言う。


(……妙に諦観したところがあるからな……もう少し力になってやれればいいんだが……俺では力不足か)


 サブロウタは裏から説教嫌いで逃げ出した生徒の顔を思い出しながら、内心溜息を吐いた。


 彼にとって、裏門から逃げられるというのは自分への信頼が足りないという証に他ならず。


 相手を責めるような類の問題では無かった。


 無論、普通の一般教育論的には叱るべきなのだが、それで相手が自分の行為を曲げないような相手である事もサブロウタには周知の事実で、指導には至っていない。


「お、サナエか。今日はバスケットボール部じゃ無かったか?」


「あ、富永先生」


 頭にリボンを一枚結んだ活発を絵に描いたような明るい笑顔の女性徒。


 いつも部活で忙しいはずの少女が校門前で立ち止まった。


「今日は家で一緒に食事を作る事になってるんです」


「そうか。それはお前の弟妹達も喜ぶだろうな」


「あはは、いつもあたし部活で遅いから」


 その快活な笑顔にサブロウタは他に何も声を掛けなかった。


 彼女サナエという女生徒が家と言った時、それは“ひまわりの家”……つまり、孤児院を意味する。


 奨学金を貰って学校に通う健気な生徒に大変だなとか、大丈夫かとか、声を掛けるのが普通なのかもしれないが、今正に頑張っている人間が一番嫌うのは同情と憐憫だ。


 それを心得た彼はただ今度俺も呼んでくれと悪戯っぽく笑うのみに留めた。


「どうしよっかなぁ? 先生、結構食べる方だから♪」


 手を振った後。


 去っていく背中を見つめながら、彼はまた他の生徒達に声を掛け始め、ギュッと竹刀を握り締める。


 鳳市。


 いや、イヅモの宿命と言うべきかもしれなくとも。


 子供達の笑顔を奪う侵略者やテロリストの襲撃なんて許せはしない。


 そんな不幸を呼ぶ事件の頻度が少しずつ多くなっていると都市に住まう者達も薄々感じているだろう。


 通常ならば公的な機関や組織に任せるというのが大人としての筋かもしれない。


 が、そんな脅威から直接的に守ってやれない事が大人として、一人の教師として彼は悔しかった。


「頼むぜ。ヒーロー……」


 この市でそう呼ばれる者達は警察や防衛隊だけではない。


 公的には隠されているガーディアンを駆って戦う者達もまた存在する。


 とある方角をちらりと見つめて。


 彼は自分が今自分に出来る事を続けようと笑った。


「用事が無かったら、迷わず帰れよ。寄り道は程々に―――」


 一人の教師が仕事でも命令でもなく自らの意思と使命感で続ける下校時の声掛けは最後の部活が活動を終え、部員達が帰るまで続けられ、今日もまた彼は最後に帰るのである。


 *


 鳳市は市の両端に人が殆どいない地域を領有している。


 一つは旧市街地。


 戦乱で破壊された嘗ての名残。


 そして、もう一つはイヅモ最大の宇宙への玄関口。


 海上に建築された鳳スペースポート。


 その近くに存在する開発中の無人地帯だ。


 一角には連邦が首都を置くローレンシアの大手資本ヴェッセーラ重工が出資するフェニックス・パークと呼ばれる大規模な遊園地も存在する為、本当の意味での無人地帯というわけでもないが、それにしても人の行き交いは夜になれば、まったく見ない。


 そんな地域には建材保管の為の倉庫というものが数多く存在する。


 これらの多くは土建会社が有するもので、夜間もセキュリティーシステムのみを置いているだけの場所が殆どであり、常識的には人を置かない。


 しかし、そんな中で唯一個人名義で登録された警備員付きの貸し倉庫というものがポツンと地域の隅に一つだけ存在する。


完全平和パーフェクトピース】倉庫。


 あまりにも胡散臭い事この上ない名称に借りようとする輩の大半は脛に傷持つような輩か。


 あるいは已むに已まれず借りるような追い詰められた人間か。


 という、大変まったく誰も知らないような魔窟アングラである。


 其処に誰かがやってきても、誰も気付かないだろう。


 他の倉庫群とかなり離れているし、周囲には建物らしい建物が無い。


 尚且つ、周辺には舗装された道すら存在しないのだ。


 一見して荒野に立つ廃墟。


 あるいは寂れた無人倉庫そのものである。


 しかし、今日もその灰色に塗られた安っぽい巨大な箱に入る者が一名。


 鍵も無い小さな横の扉を押し開いて消えていく。


「点灯」


 その声に反応してパチンと通路の証明が薄暗く辺りを照らし出す。


 倉庫内は体育館程の広さがあった。


 外見の襤褸さとは打って変わって、内部の鉄骨には錆一つ浮いていない。


 内壁にこびり付くように階段が備えられ。


 倉庫の奥、二階部分には事務所らしき場所も見える。


 カツンカツンとスニーカーが妙に固い音を立てて、階段を昇っていくと事務所の入り口でガチャリとドアが内部から開かれた。


「お帰り」


「ああ」


 出迎えたのは三十代前半くらいだろう。


 少し行き遅れた感のある化粧っ気の無い女だった。


 妙に鋭い視線。


 少しふくよかな身体。


 擦り切れたサンダル。


 白衣を着ていなければ、何処にでもいるオバサンといった感じの顔。


 パーマを掛けた頭には汗を落さない為にか。


 バンダナが巻かれており、仮にも女を捨てていると表現されても仕方ないだろう出で立ちだった。


「今日はどうだったんだい?」


「問題ない」


 彼女に迎えられたのはまだ十代。


 鳳市高校の制服を来た少年だった。


 何処か表情の薄い顔。


 二枚目という程でも無いが、何処にでもいるような取り立てて目立つ事の無いタイプ。


 身長は160後半と少し低いものの。


 その肉体に贅肉や体脂肪が余分に付いている様子は無い。


 一つだけチャームポイントがあるとすれば、唇の端から喉元に掛けて薄い切り傷の跡が残っている事だろうか。


「さて、今月の仕事だが……」


 歳の差にまったく配慮する事無く。


 少年は室内の端に置かれたソファーに座り込むと鞄を横に置いて、白衣の女(オバサン)に訊ねた。


「もう準備は出来てるさね。次の仕事は今日の深夜。倉庫街のいつもの場所まで。片道を頼みたい」


「了解だ。重量は?」


「5t。それと帰りにお使いを頼んでいいかい?」


「お使いだと?」


「相手側からの入金が現物に変更されてねぇ。まぁ、金目のものを運んできて欲しいってな事さ」


 安っぽいチビた煙草モクを咥えて。


 女がカラカラ笑う。


「それは仕事じゃないのか?」


「言っただろう? お使いさ。もしも、気に入ったなら現物をそのままやってもいい。ウチは原則キャッシュ以外は受け取らない主義だからねぇ」


「ならば、何故今回の相手と取引した?」


「色々と理由わけがあるんだよ。そろそろ資金も溜まってきたからね。ここらで主要な要素ファクターを持ってる連中には恩を売っておきたいのさ。ま、雇われ家業にゃ関係ない話だろう?」


「……現物か」


 物で払おうという輩がアタッシュケース満載の白い粉を持ち寄ってきて、武器商人の怒りを買う。


 そんなのは内戦地帯なら随分とよくある話だが、売り捌くモノによってはルートが無いと宝の持ち腐れという事もあって困る場合が多い。


「いいだろう」


「商談成立。いつもの口座に振り込んでおくよ」


「ああ」


「取引は十二時ジャストだ。車体は今出しておくからね。後はよろしく頼むよ。雇われさん」


 女が倉庫内を見下ろす窓際に置かれたデスクトップ型の端末を起動すると二十秒程操作した。


 ガゴッ。


 そんな音と共に倉庫内の誇りっぽいコンクリート製の床が下方に外れ、左右に割れて消える。


 すると地下からリフトで鈍重そうな大型のトレーラーが一台せり上がってきた。


 連結式の車体は前方と後方に分かれていて、人目には普通の運送会社が使う大型のものに見えるだろう。


 しかし、見るものが見れば、明らかに重装備の装甲車両の類だと分かるはずだ。


 まずタイヤからしてパンクしても自動で復旧する特殊なもの。


 車両のフロント硝子も二重になった対弾仕様だ。


 車体強度は言うに及ばず。


 軍用のエンジンが載っているトレーラーは正に要塞のようなものに違いない。


「鋭意努力する」


 僅か皮肉げに笑みを零して。


 女は二階から階段を下りていった。


「……飯にしよう」


 そう言って、少年は観葉植物の一つも無い殺風景な室内に置かれた冷蔵庫からイヅモの軍用レーションと繁華街で買い込んで来た水と塩と砂糖を取り出し始めた。


 そうして、彼のいつもと変わらない“平和な日常”が始まる。


 *


―――鳳市倉庫街。


 いつの世も犯罪の温床となるのは物流の集中する地点だと何処かの学者は言った。


 それは実際真理で、裏取引の現場を自前の不動産で賄えない組織や団体は多くが、今も倉庫街のような夜は無人で昼は人気のある場所に指定する傾向が強い。


 人の出入りが頻繁である事がポイントだ。


 遮蔽物が多く、また証拠となるもの。


 指紋だとか、DNA情報を含む人体の一部だとか、靴跡の付着物だとか。


 それらしいものの中から犯人を特定するというのも中々にして難しいからだ。


 少なくとも、其処に行った事があるとすれば、言い訳くらいにはなる。


 単純に後ろ暗い人間が罪を隠す為に夜を好んでいるという面もあるかもしれない。


 ただ、そういう輩が集まり過ぎるせいで、其処を利用する地下組織や団体が顔なじみだったりする。


 というのも何だか変な話であった。


 あそこはあの時間には近付かないようにしろとか、あの付近での取引に首を突っ込むと死ぬぞとか、まだ駆け出しの構成員に教えたりする比較的“優しい”裏社会の人間も多い。


 という事で半ば、取引現場というのは暗黙の了解に近い、秘密とは程遠い領域だったりする。


 身も蓋もなく言えば、公然の秘密扱い。


 警察のマーク対象という事だ。


 余程にヤバイものでも扱っていない限り、取り締まる方もお目零しする事が大半。


 さすがに白い粉だの、密造兵器だの、そういった国の治安や安保環境を直接脅かすようなものは取り締まるが、グレーゾーンの代物……まだ規制されていない粉だとか、重い関税が掛けられた物資だとか。


 そういったモノの取引は敢えて泳がせられるのである。


 監視しやすい場所で取引をしてくれるだけ、組織の内実が見え易くなるので大規模犯罪や組織の撲滅の為にという名目の下、ひっそり見逃されているわけだ。


 その夜の取引もまた鳳市に存在するグレーゾーン取引の一つに違いなかった。


 警察機構としては取引するモノの内容が割れていて、尚且つ言い逃れされる可能性が高い重要物資。


 “ALTIMA”の違法取引。


 これを見逃しているというのは普通ならば在り得ない話であったが、取引している人物が正規の採掘権利を持ち、鳳市の中でもかなりの高額納税者で政界の大物と太いパイプを持つとなれば、話はかなりややこしくなる。


 合法的に言い逃れされる可能性はかなり高く。


 更に一度の摘発で地下に犯罪行為自体が潜ってしまうと何をしているのか皆目分からなくなるので動くに動けないのだ。


 そういった事態を防ぐ為に最低限の監視人員を置いて、観察する以外その場所での取引に警察は介入しない。


 今まではそれが普通であった。


 しかし、今夜は事情が違うらしく。


「おいおいおい!!? テメェら!! 神妙にしろい!?」


「………」

「………」


 その警察官を見た時。


 取引をしていた二人の感想は見事なまでにシンクロする。


 そのロールパンみたいな髪型リーゼントはどうやって作っているんだ、と。


「何とか言わねぇか!!」


 眉の太い独特な男だった。


 跳ね上がったモミアゲ。


 顎の十字傷。


 正義感の強そうなアクの強い顔。


「うん? お前、まさか学生か!? 学生が運び屋なんぞやってんのかよ?! クソッ!! これが現代社会の病理ってやつなのか!? く、後でこってり絞ってやる!! 動くなよ!!」


 倉庫街の端。


 トレーラーを止めた少年は取引相手。


 たぶんは単なる下っ端なのだろう。


 スーツを着た黒尽くめの男に規定通りのサインを貰った直後だった。


 内心、渋いものを感じたのはこんなグレーの取引を引っ張って、警察に何の益があるのかという事だ。


 彼は身元引受人が白衣のオバサンである為、お咎めなしですぐに釈放だろう。


 しかし、相手はそうも行かない。


 違法に“ALTIMA”を取引する連中というのは大概が武器商人のような輩だ。


 無論、対外的にはガーディアンやその下位互換であるミーレスの修理工カスタマーサービスという肩書きを名乗っているのが殆どであるが、外国に武器を輸出しているようなものと言って差し支えない。


 そんな輩は用心深い為、もしも警察に引っ張られても大丈夫な身分や権力を持っているのが大半であったが、今日の客は違うと少年は既に見抜いていた。


 と、言うのも全体的に相手が玄人臭過ぎるのだ。


 やってきた人間の足音が明らかに現役軍人のものであると知れた時、何も無ければいいがと少年は思っていた。


「はぁ……」


 数秒でその願いが木っ端微塵になれば、げんなりもしよう。


「………」


 取引相手の男はサングラスに見せ掛けた情報表示デバイスで既に指示を受けている事だろう。


 正義感からか。


 はたまた何か警察に手違いでも起きたのか。


 どちらにしろ。


 決して血を見ずには終われないのは確実。


「さぁ、観念してお縄に―――」


 パンと乾いた音が響いた。


 もんどりうって警官が倒れ、無かった。


「痛ってぇな!? 公務執行妨害!! 拳銃所持!! ええい!? その他諸々の罪で逮捕だ!! 逮捕ぉおおおおお!!!」


 黒尽くめがあまりの事に拳銃を構え直すのが遅れた。


 パァンと今度は警官側の発砲で相手が銃を取り落とす。


(この暗闇の中で腕に命中させる……勝負合ったな)


 バイザー越しに相手がハッキリと暗視装置で見えていたはずの男と暗闇でまともに相手が見えない警官。


 銃の腕前はこの時点で勝負が付いた。


 が、それで捕まるような輩でもない。


 不利と見るや、身を翻して倉庫街のあちこちにあるコンテナを盾に走り出す。


「待てぇええええ!! あ、お前は此処にいろよ!! 後でキッチリ取り調べてやるからな!! この天龍コタロウ様が!!」


 そのまま、男を追い掛けていく警官の末路が見えて。


 さて、どうしようかと少年は考える。


 このまま逃げ出せば、後で要らぬ厄介事になる。


 しかし、此処に留まれば、直接的な危機にさらされるかもしれない。


「………」


「うぬ? こんなところでどうしたんじゃ。ネームレス殿」


 後ろから掛かった声に少年が少しだけ身を強張らせた。


 安易に人様から背後を取られるような鍛え方はしていないのだが、その相手だけは特別か。


 振り返った先にいる相手が僅か夜雲の隙間から訪れた月光に照らされて、その姿が顕になる。


 金髪碧眼。


 それでいて幼い容姿の少女だった。


 その衣装は今までの取引相手とは別の意味で黒尽くめである。


 俗にゴシックロリータと呼ばれる様式。


 一度でも見れば、彼女を忘れない人間は多いに違いない。


 その傲岸不遜な態度と邪悪に満ちた表情。


「ワルモンヌ・ワルシュタイン……」


 嘗て世界を席巻した悪の組織。


 ブラック・クライシス団。


 その二代目たる少女は神出鬼没。


 あらゆる国で評判になる世紀の悪女であり、同時にガーディアンのリンケージでもある。


 超絶三十六身合体ロボ。


 ウルトラワルシュタイン36を駆る姿は正に台風の如く。


 そんな世界的有名人は実際のところ、少年とは顔見知りの関係だ。


 彼の主な仕事は運び屋であるが、その大抵の取引相手は少女その人。


 一度も部下を寄越した事の無い少女の様子はいつもと変わらず。


 今まで其処で起こっていた事件とは無縁そうだと少年はとりあえず「お元気そうで」と当たり障りの無い返事を返した。


「お? 何じゃ何じゃ?! お主、われの変装が見破れるのか?」


「……ええ、まぁ」


 少女は今、本来の姿とは別の形をしていた。


 何処かのモデルのような体型をした美女に外見は変化している。


 しかし、ネームレスと呼ばれた少年にはしっかりと本来の姿が見えていた。


「そうか。お主もリンケージなのか……この変装はな。“ALTIMA”に反応する人間にしか見破れない類のものなのじゃ」


「………」


「まぁ、良い。それよりこんなところでどうしたのじゃ? 誰かと取引か?」


「今回の取引に警察が首を突っ込んできたところで」


「何? お前のところはそんなにヤバイ橋を渡るようなところじゃったか?」


「いえ……」


「そうか。悪かったな。お主にも分からぬ事はあるだろう。今のは忘れてくれ。ちなみに吾(ワシ)は丁度、お忍びで買い物をして家に帰る途中でな。何やら騒がしそうな気配を感じて此処に来てみたのじゃが、そうか警察がなぁ」


 とりあえず周囲を見回した後。


 ポンポンと少年の肩を叩いたワルモンヌが笑顔で言った。


「いっそ、ウチに就職してみんか?」


 何がいっそなのか。


 唐突な申し出に少年が首を横に振る。


「……まだ契約があるので」


「そうか。律儀なのだな。ネームレス殿は」


 勧誘もそこそこに少女が次の言葉を投げ掛けようとした時。


 ドゥルルルルルルルルルルルッッッ!!!!


 そう、火線が空に打ち上がった。


 独特の発砲音。


 それがガーディアンやミーレスの使用する汎用のチェーンガンだと瞬時に悟って。


「……」


 少年がチラリとトレーラーの方を見た。


「そろそろお暇する事としよう。もし、あの女と契約が切れたら、是非ウチでの雇用契約を考えてくれ。では、吾はこれで」


 少女の姿が一瞬、AL粒子の燐光を伴って掻き消えた。


 “ALTIMA”が発する力。


 その片鱗たる加護“ヘルモード”は対象を瞬時に別の領域へと飛ばす空間跳躍を可能とする。


 自分もそろそろ退避しようと少年がトレーラーに近付いた時、車両を牽引する一台目が巨大な建造物の破片に襲われて爆散した。


「く……」


 近付こうとしていた分、反応が遅れた。


 周辺に撒き散らされた破片がまるで散弾のように彼を襲うはずだったが、今そうなってはいない。


『大丈夫ですか?』


(フォーチュン?! 出遅れたか)


 彼を守っていたのはAL粒子の盾。


 そのフィールドを張っているのは彼のすぐ傍に降り立った一機のガーディアンだった。


(ユニオン級……これが噂の“ヴォイジャーX《クロス》”……)


『心配しないで。今、仲間があのテロリスト達と戦っていますから。もう少し戦場が遠ざかれば、すぐ安全な場所まで移動させます』


 ガーディアンにも様々なタイプがある。


 現在、少年を守るように陣取っているのは高い変形能力と合体機構を有するユニオンと呼ばれる型だ。


 本体は最もオーソドックスな機体である人型。


 カバリエ級にも似て細いが、背負ったバックパック状の武装や飛行能力を鑑みるに可変駆動する為のギミックも満載されているに違いない。


『クソ?! 何でこんな時にッ!!』


 轟音と共に倉庫街の端で建造物を薙ぎ倒しながら、スーパー級と呼ばれる機体が吹き飛ばされ、その余波で周囲に土埃が吹き寄せてくる。


『大丈夫?』


『ああ、それより一般人の避難は!?』


『貴方が早めに敵を押し込んでくれないと身動きが取れないわ。他のところも同時に襲われてて、どうやら人手が足りないみたい』


『ああ、そうかよ!? なら、倒すしかねぇな?! 行くぞ!!! コスモダインッ!!!!』


 轟音と共にAL粒子がその巨大な人型ガーディアン。


 コスモダインから吹き上がる。


 俗にスーパー級と呼ばれる一騎当千のワンオフ機体。


 カバリエ級やユニオン級の二倍以上はあるだろう分厚い装甲とダイナミックな攻撃方法を持つ事が多い鉄の城砦はそれだけで並みのガーディアンでは歯が立たない化物だ。


 しかし、その化物を吹き飛ばすのは一体、どんな相手なのか。


 外部スピーカーで駄々漏れの怒号と覇気が未だ少年からは見えない敵に向かって上げられ、技名がワザワザ叫ばれる。


『クライシスゥウウウウウウウウウ、バァアアアアアアアアアアアン!!!!』


 ビュルゥオオオオオオオオオオオオオオオオ―――。


 コスモダインの胸部装甲(エンブレム)から超高温の熱線が放たれた。


 しかし。


『それを待っていたッ!!』


 瞬間的な攻防が目まぐるしいガーディアン戦における最も考慮に入れなければならない要素ファクターは相手の“加護”が如何なるものであるか、という一点に尽きる。


 少年が見たのはコスモダインの関節部に精密狙撃並みの誤差で六点連射されたビームの軌跡だった。


 ドゴォオオオオオオオッッ。


『ぐぁああ?! クソ?! “ヘルモード”かよ!!?』


『臆病者はこれを逃げの一手に残し、攻撃を躱すのに用いる。だが、私は違うッ!!!』


 コスモダインの背後を取ったのはワルモンヌも使用した転移を実行するヘルモードで背後を取ったラーフ帝国のカバリエ級“ヴィクラマ”だった。


 その姿は如何にも汎用性ばかり追い求めるカバリエ級に相応しく、可もなく不可もなく。


 そんな優等生を思わせた。


 スーパーやユニオンのような圧倒的な長所は無いが、短所も無い機体性能はイマイチである事が多い。


 だが、背部に大型のブースターが付けられ、ビームライフルを装備し、まるで鬣の如く頭部を飾るセンサーはそれが指揮官機である事を示している。


『逃げてんじゃねぇかよ?!』


 裏拳気味に大気を唸らせ、コスモダインがそのまま片腕の中程から轟炎を吹かせ、飛ばした。


 ロケットパンチだ。


 その一撃で相手は消し飛ぶかと思われたが、指揮官機はまったく意に介さず。


 紙一重でひらりと半身を引いて回避し、背後に抜けていった腕部のブースターを振り向きもせずにライフルで打ち抜いて爆散させる。


『どんな腕してんだよ!?』


『ああ、君の失ったものよりは良いと自負しているよ』


 余裕。


 声はまったくもって弱者を蔑む響きだった。


 本来スーパー級に量産機のバージョンアップ版が敵う要素は無い。


 何もかもが違い過ぎるのだ。


 その分厚い装甲は単なるビーム兵器では傷一つ付かず。


 恐ろしい攻撃の数々は一撃で装甲を抜いて機体を破壊するに足る。


(まさか、スーパーエース級の相手に会えるとは……そうか。今回の取引相手は……)


 全てを察した少年が相手の正体を悟る。


(これがディスティニー部隊。テロリストの真似事をしているのは知っていたが、正規軍の中隊以上の戦力を保持しているとの噂は本当のようだ……)


 コスモダインが窮地という程ではないにしても、押し込まれている理由は主に三つ。


 相手の挑発や攻撃に激高した挙句に単調な必殺攻撃を行いAL粒子を消費して防御力場が希薄化した事。


 ヘルモードによる背後の奇襲と見事なピンポイント攻撃で無理矢理の攻撃を誘われた事。


 相手に背後を取られたという状況にとにかく引き離そうと不用意に長距離射程武器を放った事。


 どれも相手が誘導した結果だろう。


 機体特性とパイロットの錬度と性格から割り出した最適な戦術プランが無ければ、今の状況は在り得ない。


 未だ当れば、一発で沈むだろう機体に乗っていながら、その男……ラーフ帝国から分派したと言われるテロリスト集団ディスティニーの指揮官はまったく冷静で冷酷だった。


 仮にもヴォイジャーXがいる場面なのだ。


 もしも、参戦したならば、圧倒的に不利なのは自分。


 それを念頭において、今は一般人扱いされている少年をビームの射程に入るよう戦ってもいた。


 限り無く計算高い理詰めの戦術は勝つ為のものではない。


 通常、自らより上の戦力を相手にするのは愚策。


 だが、その駒が行なっているのが囮ならば、話は別だ。


 相手の駒を釘付けにしておく為の最も危険な任務を自ら進んでこなす姿は一種、部隊に対して献身的ですらあるかもしれない。


『ダメよ。挑発に乗らないで。今の私達の任務を忘れたの?』


『―――済まねぇ。少し熱くなっちまってたみてぇだ』


「………」


 一瞬で流れが変わった。


 それをよく理解しているのか。


 少しずつコスモダインから離れながら、ヴィクラマがほんの僅か小刻みに機体の各部を左右に揺らした。


(ぶ・っ・し・は・も・ら・い・う・け・る・し・は・ら・い・は・ひ・な・ん・さ・き・に)


 物資は貰い受ける。


 支払いは避難先に。


 それは機体によるボディランゲージの一種。


 無線封鎖や戦闘中の通信機器の破損、意思伝達が不可能な状況下にあっても、機体のカメラとモニタさえ生きているなら、会話出来るよう考えられた戦場での手話だ。


 第一次大戦時に発明されたガーディアンが発達するに連れて使われなくなっていった一種の兵士達の間におけるロストテクノロジーだが、知っているものには理解出来る秘密の言葉。


 主にガーディアンへ長く乗っているリンケージ。


 それも五十代から八十代くらいの兵士だった者の嗜み。


 単に自分の取引相手を試しているのか。


 別に付き合う必要は無いと少年はそっと目を逸らす事で意思表示した。


 その時、何とも言えない感覚。


 相手が微か笑んだような気がして、少年が口元を僅か歪める。


『そろそろ我らが目的も達成されるだろう。これで失礼するフォーチュンの諸君』


『逃がすと思うのかよ!?』


『いいや、君達は私にこう聞かなければならないはずだ。一体、後何体が市街地に潜んでいるんだ、と』


『?! お前、まさか!!?』


『さぁ、見逃してやろう。其処の憐れな一般人を連れて逃げ帰るがいい。それとも此処で死闘を演じている間に何人犠牲になるか賭けでもするかね?』


『く……』


 コスモダインのパイロットが僅かに躊躇する様子は分かり易過ぎる。


 これでは大人と子供の喧嘩にもなるまいと理解するのはヴォイジャーXのパイロットばかりか。


『いいでしょう。此処は引くわ。いいわね?』


『―――ああ、覚えてろ。いつか、必ずお前達をこの鳳市から追っ払ってみせる!!』


『そういうのは悪役の捨て台詞だと記憶しているが? それに覚えていろとは片腹痛い。目に焼き付けた我が身の無様も分からぬようでは、この先、君に未来は無いと思え』


『ッ』


『行くわよ。此処には一般人もいるって事を忘れないで』


『分かってる……分かってるさ……』


 ヴォイジャーXは攻撃が無いと踏んだか。


 少年を手に優しく取って、コスモダインと共に背中を見せないように引いていく。


 そのまま、攻撃が当っても守り切れるだけの距離を取った二機は市街地の方へと機体を向かわせた。


『済みません。危険に晒してしまって。お怪我はありませんか?』


「ええ」


 少年が頷いて、取引は無事成立したようだとトレーラーの事を思考した。


 もしも可能なら爆発した車両の破片は全て持ち去ってもらいたいものだが、それが無理ならば、彼が単独で再び回収へ向かわなければならないだろう。


 しかし、相手の優秀さを見せ付けられた者の意見としては、そんな手間など必要無いとも思えた。


 あのクラスの指揮官なら、初歩的なミスはしない。


 取引相手との契約は秘密の遵守も含めて全て履行される事が基本。


 自分達の機体に使う貴重な補修素材。


 そんな重要物資をこの鳳市でも売ってくれる相手。


 それをわざわざ危険に晒すなんて常識的に考えれば、悪手以外の何物でも無い。


 やがて、少年は掌から降ろされた。


 街のあちこちにある避難所。


 シェルターの一つに程近い空き地である。


 もう避難してきた民間人でごった返している為か。


 数十m先からは喧騒が響いてくる。


『では、私達はこれで』


 すぐさま仲間の援軍に向かうのだろう二機が遠ざかっていった。


(……避難先で受け渡しとは言うものの、あの喧騒の中でこちらを発見出来るのか?)


 とりあえず、空き地から移動しようと小型端末で雇い主に連絡を図ろうとして。


 不意に前方へ人影が立ちはだかる。


「貴方が受取人でしょうか?」


 何処か無機質な声。


 感情というよりは応答する音声を機械が喋っているような錯覚。


 何処と無く。


 面倒な事になりそうだと理解しながらも、彼は尋ねる。


「現物は?」


「はい。持参しました。付きましてはこれからよろしくお願いします」


「?」


 一瞬、何を言われているのか分からなくなった少年が怪訝な顔をするとピシッと相手は敬礼しつつ、鈴のなるような声で自らの名を明かした。


「ラーフの方から来ました。アイラ・ナヴァグラハと申します。どうぞ何なりとお申し付け下さい」


「―――受け取り拒否は?」


「出来ません。家事、炊事、軍事、全てにおいてお役に立ちたく思います……お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」


 何も聞かなかった事にしたい気分で一杯な少年はそっと仕方なく応える。


「名前は無い。仮にネームレス。あるいはロス。今までに使ってきた偽名コードはジョン、ジョバンニ、ヨハン、ジャン、イワン。今のところイヅモ姓で七士ななし荒那七士あらな・ななしなんて呼ばれてる」


「では、七士様。今後ともよろしくお願い致します。どうぞ、この体をお役に立てて下さい」


 随分、酷い冗談だと少年。


 七士は自らの仕事を呪った。


 たぶん、最初から全てを知った上であの雇い主は何もかも押し付ける気満々だったのだと理解しながら。


「受け取り拒否は―――」


「出来ません。どうぞお役立て下さい。七士様」


 結局、そういう事になった。

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