第8話 入隊前日と入隊当日

 入隊する駐屯地の最寄りの駅までは、新幹線を使っても5時間程度掛かり、始発でも間に合わないという事で、受け入れ先の県の地方協力本部の事務所で一晩泊めて頂くことになった。

 ちなみに、地方協力本部とは、自衛隊の広報や募集活動をしている機関の事である。


 事務所で一晩泊めてもらい、入隊当日の早朝から車で駐屯地に向かうのだが、困ったことがあった。

 運転している広報官の運転が荒すぎるのである。

 しょっちゅう左右にブレるので、もし事故ったらどうするんだと思ったが言えず、

僕は助手席に座っていた為、左上に付いている手すりを掴んでいた。


 そして、駐屯地の正門に着いて広報官が警衛の人と手続きをした後、駐屯地の中に入る。


 試験の時と合わせて中に入るのは二度目だが、改めてその広大さには驚いた。


 イメージとしては大学のキャンパスといった感じで、看板も大学にあるようなかっこいい看板(キャンパスサインというらしい)に似ていて、それまでの僕の中での駐屯地のイメージとは全く違った場所だった。


 広報官と別れて駐屯地の隊員に車で隊舎まで送ってもらう。


 隊舎の入口で受付を済ませて、貴重品入れの鍵を受け取り、要員(常備自衛官の事)に居室まで案内される。


 二段ベッドが左右に3つずつあり、新隊員の名札が付いていて、すでに誰のベッドかは決まっていた。


 ちなみに、僕の班は25歳、23歳、20歳(僕)、19歳、高校を卒業してすぐに入隊した18歳が5名の計9名だった。


  上下セットのジャージを受け取り、それに着替えて、着ていた私服はベッドの横に備え付けられているロッカーに掛ける。


 その他には、教場で宣誓書に署名をしたり、班長・班付含めて班で自己紹介をしたり、班員同士でバリカンを使ってみんなで坊主になったり、交付された被服に名札を縫い付けたり、身体検査をしたり等、忙しかった。


 要員達が言うには、宣誓書にサインした時点で入隊したものと扱うらしい。


 自衛隊側は入隊予定者が宣誓書にサインしてから色々な手続きを始めるらしく、サインをしてしまってから辞めると非常に手間と時間がかかるらしい。


 関係者には本当に申し訳ない。


 サインをする前だったら複雑な手続きは無しですぐに帰れるし、自衛隊側にも本人の情報は残らないとの事らしい。


 1200 昼食

 引き続き裁縫

 1700 国旗降下後夕食と風呂

 引き続き裁縫

 2230 消灯


 他にも隊舎内の案内や設備の説明などを受けたりしてその日は終わった。









 











 

 

 

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