3rd Choice..

俺が手にしたアイテムは、どう見てもスマホ。


到底、武器には見えないが…。


「なにそれ?スマホ?」


サユリさんの問いかけ。


「っぽいけど…」


とにかく起動してみる。


≪はじめに…≫


説明文のようなものが表示される。


「なになに?…このアイテムは、あなた自身があなたをサポートするアイテムです」


「サポート?」


「うん。って書いてある」


≪このアイテムには一つのツールがあります。ツールはある機能をもっています≫


英語を直訳したような日本語…。

海外製品?


「ざっけんなよ、なんで俺がこんなおもちゃなんだよ」


声を荒げるのは不良ジャージ。

その手にはピコピコハンマー。

日本刀を持つ、いかにもガリ勉って感じのメガネくんに迫る。


「き、君が選んだんじゃないのかい?」


「あ?ちょっと気になって取っただけだよ。お前のよこせ。交換だ」


「い、いやだよ…」


「あ゛?」


詰め寄る不良ジャージ。


「っざけんなよ」


ピコピコハンマーをテーブルに叩きつける。


『ピコ……ボッコン!!』


!? なんだ?

爆発??


『あー、それね。ロシア製の最新兵器。叩いた物質の質量を圧縮して、なんとかが、なんたらでナニナニとか…。とにかく破裂するみたいよん』


得意げなピエロ。


なんだ、それ…。ロシア?兵器?


まて、このスマホも?


≪その機能とは、メールのような機能であり、アイコンをタップするとツールが開きます≫


じれったい文章だな。


『そうそう、みんなのアイテムはね、この宴に協賛してくださってる企業様たちからのありがたい試供品です』


≪ツールでは、3分前のこのアイテムにメールを送ることが出来る、画期的な機能をもっています≫


3分前?


『それと、試作品もあるので、いいデータとれるように頑張ってくださいね』


≪しかし、3分前のあなたの行動によっては、今のあなたが書き換えられます。注意が必要です≫


「ね、兵器とか試作品とか、なによそれ…。あんたのそれもなんかの兵器?」


「そう…かもね」


つまり、過去の自分にメールで連絡がとれる。

でもって、今が影響されて変わるってこと?


『それじゃみなさん。それぞれ好きな部屋に荷物を置いて、ここにまた集合してください』


『ピコリン♪』


受信音?


≪4番はやめろ!≫


4番?


「とりあえず…荷物おいてこようか」


サユリさんが部屋へと向かう。

向かう先には、4番の部屋。


「ちょ、ちょっと待って!」


「なに?」


「その部屋は…よくないかも」


「なんで?」


「わかんないけど…」


なんてやりとりをしてる間に、ガリ勉が4番の部屋へ入る。


『バタン』


「わかんないって、なによ…」


なによ…。俺も聞きたい…




『ドカンッ』


え?


「ちょ、ちょっと、なに?」


爆発…?


『あー、忘れてました。宴、つまりゲームはもう始まってます。最初は運試し。何部屋か、爆発しま~す』


…!?


悲鳴、どよめき、怒号。

各々、口々になにかを叫ぶ。



まさかとは思ってたけど、やっぱ死んじゃう系の展開…だよね?


「ちょっと!なんであの部屋が爆発するってわかったの?」


「スマホ…スマホにメールが来た」


「メール?」


『ピコリン♪』


また…


≪9番も爆発する≫


「9番も爆発だって…」


「どういう事?」


「このスマホ、3分後にメールを送る事ができるって…」


『ドカンッ』


9番の部屋から爆発音。


サユリさんと見合わせる顔。


「3分前って…」


そうだ。4番のメールが来てそろそろ3分。

3分前…サユリさんが部屋へ向かう頃!?


慌ててツールを開き文章を打ち込む。


“4番はやめろ!”


送信…。


間に合わなければ、サユリさんは…消える?


スマホの画面を覗き込む二人…。


サユリさんに変化はない。


「…ありが…とう」


「い、いえ」


『爆発するタイミングはランダムですからね~。さっと荷物置いて、出てくれば大丈夫かもね。あ、荷物は必ず部屋に置いてくださいね~。で、中にある部屋の鍵を持って出てきてください。じゃないと失格にしま~す』


失格?


と、とりあえずメールだ。


“9番も爆発する”


「ウチ、失格でもいいからさ、辞めさせてもらいたいんだけど…」


ギャルがピエロに懇願する。


『じゃあ、しっか~く』


ピエロは、リボルバー式の拳銃を取り出し、ギャルに向ける。


「え?ち、ちょっと」


『パンッ』


そ、そんな…。


「ねぇ、メール!」


そ、そうだ。メール。

あの子の発言をやめさせれば…


≪送信中≫


な、なんだよ。


画面は動かない。


ウィンドウが開く。


≪送信中の場合は他の動作はできません。送信は電波状況により時間がかかる場合があります。≫


そんな…。


ギャルは、額を打ち抜かれ、おそらく、即死。


サユリさんの顔が赤くなる。


「ふざけるなぁーー!!」


マシンガンをピエロに向け、引き金を引く。


『タタタタタッ』


連射された弾のうちのいくつかは確実にピエロを捕らえた。


しかし、彼は微動だにしない。


『残念。僕は最新鋭の防弾チョッキを着ています。まったく痛くない。科学ってすごいですね。原理はしりませんが』


なんだよ、それ…。


『あなたも失格。と言いたいところですが、今回は見逃しましょう。その勇気、評価します。僕、死んじゃったかもしれませんよ?それでも引き金を引く。そうです。これはそういうゲームです』


そういうゲームって…。


『さぁ、みなさんも、他人を犠牲にして、自分のために頑張りましょう!』


ふざけるな。

そんな声が方々から上がる。


『みなさんこそ、ふざけている場合じゃありませんよ!あと1分以内に入室しなければ 、失格にします』


『ピコリン♪』


サユリさんと画面を覗き込む。


≪7番と8番はセーフ≫


「・・・。」


俺たちは無言でそれぞれの部屋へと入っていった。

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