第8話 定期的にメンテナンスされた不和

円卓に詐欺師たちが腰を下ろす。まずは二人。彼らは直線上に席を取った。いずかからともなく葡萄酒が配される。グラスは二ツ。くるりくるり。ボトルから注がれる葡萄酒の色は白い。彼らにおいては食事の席ですら真っ赤な嘘だ。


詐欺師の存在は油に似ている。便利なのだ。どんな種類の油か。葡萄酒に合わせるという意味では、オリーブ油が適当だろう。しかし、こと詐欺師についていえば、これは個性に合わせて異なる。円卓の用意された部屋、その入り口に近い側に座っている詐欺師は、まさにオリーブ油だ。彼はサラサラとした仕事をする。


一方で、奥の座にいる詐欺師は質の悪い合成油のような存在で、さらに都合の悪いことに、そこに配合される油のバランスや種類は、仕事ごとに異なる。クライアントにとっては都合がよい存在ではあるのだが、私にとってはよいことではない。

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