天命刹歌 第8.5話 君が名。
「へ?名前ですか。存在名で十分事は足りますよ?」
天使が言う。
まあ、そうなのだ。
必要性という観点からみれば、名を別に付けることは大した意味を持たない。
まあ、呼ぶときに苦労するというか間違いなく噛むから、という理由である。
あとは、与えられた名は、個人的に気に食わない。
一応、出来損ないでも親なのだ。自分で名前を付けたかった。
高天原には昼夜はあるが四季はない。
雲もあるし、月も太陽も再現したが、ないのだ。
それに気付いたのは大分後からなので、
めんどくさくなってやめたというのが理由である。
というわけで、この世界で生まれた4人にそれぞれの四季を名付ける。
始まりを与える黄金の片割れ。
植物のように青々しい瞳を持つ天使。
紅葉のごとく緋い眼を持つ褐色。
終わりを齎す白銀双子の片割れ。
名は体を表す。
付けてみても少し違和感があるものの、
彼女たちが候補の中から気に入ったと、これを選んでくれた。
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