絵本から本へ、のこどもたちと、おとなたちに贈る

狼の気持ちを描いた名作に「あらしのよるに」シリーズがあります(絵本ですが、対象年齢は7歳以上かな)。親も楽しめる話ではありますが、うちの子にはその世界観があまり伝わらなかったようで……

小さな子供って難しいです。男の子も女の子もそうですが、親とフィーリングが合うことってなかなかないんですよね。なので、絵本はたくさん準備。図書館に通っていくつかためして、気に入った本があったら何回も読んであげることが必要。別に子供の学力を伸ばすため、とかではなく、子育てとして必要なんです。親としても「ここは今理解できているのかな?」「ここはなんとなく楽しんでいるのかな?」 と本と子供の表情を見比べながら試行錯誤を繰り返します。

そんなふうに日々感じる中で「こういったアプローチがあるのか!」とびっくりしたのが今作です。是非大きな文字で、フォントの色指示に従って印刷して子供に読んであげたい。子供が気に入れば何度でも読ませたい。そんなお話。

いくつかの絵本を経由して、ちょっとだけ文字だけの本にステップアップさせたいな、というお子さんがいらっしゃれば、是非読んであげてほしい。そのあと、やはり絵本に戻るかもしれませんけれど(「かいけつゾロリ」シリーズなんて、小学校高学年でも楽しんで読みますしね)

だけど、このお話には子供をさらに飛躍させる力があると私は感じています。それは「子供が自ら話を作る力」。絵本を読んであげるだけだと子供自らが話を創造するのって大変かもしれない。絵を描くことが難しいとあきらめてしまうかもしれない。だけどこういった素晴らしいお手本があれば、自分もお話を作りたい、自分にもできるかも、と思えるかもしれない。お話に色をつけるところを見つけて色鉛筆やクレヨンを使って工夫するかもしれない。もともと絵日記が苦手で中学の美術の成績が10段階で2だった私は痛切にそう感じるのです。

長々と書いてしまいましたが、年齢に応じて選べるお話それぞれに、筆者の気持ち「すべてのこどもたちと すべてのおとなたちに 最大級のエールを」がこめられています。是非お試しください!

                                              ― Sincerely yours

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