第13話 泥子と泥子2

 泥子と泥子2を仲間に加えて、コボル子とフェアリ子で橋を目指しつつモンスターと戦う予定です




「また……マッドゴーレムコボ……」


「ああ、この辺りはマッドゴーレムの頻出出現地帯だからな。

 それ以外のモンスターも出ることには出るが圧倒的にマッドゴーレムの出現率が高い」


「いやんなるコボね……」


「兄様、お気づきのこととは思いますが、わたくしのMPはそろそろ限界ですわよ」


 そうなのである。

 さきほどの一戦で、コボル子がダメージを食らいまくったためフェアリ子の回復魔法が大活躍していたのである。


 戦闘終了時には運よく仲間になったブルースライムの回復魔法で全快まで回復してもらったために今のところ体力的には問題ないが、さきほどと同じような戦いだと回復アイテムの薬草ハーブの消費は必須で、資金稼ぎが目的の現状としてはあまり芳しくない結果になろう。


 だがそれは普通に戦えば……の話である。


「俺に考えがある。フォーメーションを変えるぞ。

 前衛に泥子だ。

 そして中衛にコボル子と俺が入る。

 フェアリ子は後方待機」


「まあ、わたくしはいつも通りですわね。

 泥子の回復に専念してればいいのですか?」


「俺かコボル子がピンチになったら回復魔法か薬草を使ってくれ。

 泥子に関しては無視だ。固いからそうそう死ぬことはないはずだ」


「ウガー!!」


 肯定とも否定ともつかない謎の雄叫びを上げる泥子である。

 が、言いつけには従うようで、前衛を買ってでてくれた。


 相手はマッドゴーレム三匹。さっきよりは格段に与し易い相手だし、こっちはパーティメンバーも増えている。


「なるほど。壁役として泥子を鍛えていくつもりなのですね。

 コボル子と兄様の負担も減るしなかなか良い作戦ですわ」


「助かるコボ。泥子には申し訳ないコボけど……」


「まあ、防御力重視のモンスターの宿命みたいなもんだ。

 泥子も嫌な顔せずに引き受けてくれてるしな」


 というわけで戦闘が開始される。


 まずは俺がマッドゴーレム(左)に攻撃。


 フェアリ子は様子を見ている。


 コボル子がマッドゴーレム(左)に続けて攻撃する。


「相変わらず殴るだけでこっちが痛いコボ」


 泥子がマッドゴーレム(左)に攻撃する。


 さすがに固い。三人で攻めても倒しきれない。


 続けてマッドゴーレム(左)が泥子に向って攻撃するが、泥子はそれを弾き返した。

 ミス……ダメージを回避した……といった感じの状況なのだろう。


 さらにマッドゴーレム(右)が泥子に攻撃する。


「ウガー!!」

「ウガー!!」


 ぺちょんとしたパンチを顔面に食らう泥子だが、それなりなダメージを受けているようだ。

 が、防御力もそうだがHPも高い泥子はそれだけではもちろん沈まない。


 2ターン目。


 フェアリ子が様子を見ている。


「まだ回復魔法を使う状況ではないですわね」


「ああ。お前はそこで浮かんでればいい」


「せい!!」


 俺の剣がマッドゴーレム(左)に炸裂する。

 わずかに局部を隠すために残っていた泥がはじけ飛び、泥まみれ幼女(に見えるが18歳以上)が全裸幼女に変わる。ところどころに泥がついているのがなんとも艶めかしいが。


「おお! 倒せたコボね。じゃあ次はあっしの番コボ。

 コボー!!」


 コボル子の攻撃でマッドゴーレム(右、残ってるほう)にダメージが与えられる。


「ウガー!!」


 だが、コボル子の攻撃だけでは第一段階のダメージ受けたグラフィックチェンジである泥が少なくなって胸とかお尻が見えそう状態にはならないようだ。


「ウガー!!」


 今度はマッドゴーレム(残り)が泥子の先手を取ったようである。

 泥子がダメージを食らってしまうが、まだ余裕は残ってそうである。


「ウガー!!」


 泥子がマッドゴーレムを殴りつける。

 ようやくマッドゴーレムを纏っていた泥が少し剥げてくる。


「次のターンで倒せそうですわね。

 まだ回復はいらない感じでしょうか?」


「そうだな。フェアリ子は様子を見ててくれ」


 というわけで次のターン。


 俺の攻撃でマッドゴーレムが瀕死状態になる。つまりは、局部だけには泥がついているが上半身、胸の辺りが露わになった状態だ。


「決めるコボ!」


 コボル子の攻撃でマッドゴーレムを倒すことができた。


「これは楽コボね。時間はかかるコボけど、中衛に下がるとたまにしか攻撃を受けないコボし。

 泥子のおかげで戦闘が捗るコボよ」


「兄様、新たに泥子3と泥子4が仲間になるのでしょうか?

 それとも、泥子の合成素材にするのでしょうか?

 でしたらレベルが上がって泥子のHPは回復しますから回復魔法を使う必要は生じませんが」


「ああ、泥子3と泥子4はそのまま連れていく。泥子に合成はしない」


「ということでしたら、泥子は結構なダメージを食らってしまっていますから回復しますわね!

 光の加護よ……聖なる導きよ……」


「いや、待て! フェアリ子。いい。勿体ない」


「聖櫃を…… えっ! なんとおっしゃいましたか?」


「わざわざ回復する必要はない」


「どうしてですの? 兄様?」


「壁役には予備ができた。泥子をパーティから外して次の戦闘は泥子2に代りをやってもらう」


「じゃあ泥子はどうするコボ?」


「マッドゴーレムの素材は結構な値段で売れるからな。

 なんでも美容品になるそうだ。

 素材にする」


「ウガー!?」


「そういうわけでご苦労だった。泥子」


「ウガー……」


「今日の目的は橋を見に行くのもそうだが、資金集めだからな。

 マッドゴーレムは一回の戦闘ではそうそう死ぬこともないはずだ。

 幸いにして出現率も高いからそうそうストックが切れることもないだろう。

 つねに2~3体をキープしつつ、ダメージが溜まったら素材に変えてフレッシュな奴と入れ替えていくというのを続けるのだ」


「なかなかに……効率的な戦術コボね……。

 それなら回復アイテムを使う頻度も減るコボからお金の溜まりも早そうコボ」


「さすがですわ! お兄様! わたくしのMPもだいぶと節約できますわね」


 二人とも口では同意&称賛を示してくれたが……。

 その瞳の奥に若干の冷たさが滲んでいるように感じたのは気のせいだろう。


「あとはたまに出てくる他のモンスターは俺の経験値やフェアリ子の合成素材にする感じだな」


 それで俺も今日でひとつぐらいはレベルが上がるし、フェアリ子もまだレベルが低いからほどほどでレベルアップしてMPが回復するだろう。無駄な出費を抑えられるのである。





 

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