外伝〜優太幼少期④〜

〜神野秀太郎視点〜


「ふぅ……。」


 オレは今3つ目の団体をボコしたところだ。オレの息子を誘拐しようとしたんだ。こんくらいの罰は受けてもらう。それにしても……。


「多すぎやしないか?」


 やっぱり裏の情報網に引っかかったのかな? 潰しに行きたいんだけど……。


「ここを離れる訳にはいかないしな……。」


 オレの視線の先にはテントがある。あの中で俺の息子が寝ている。ここから離れた隙に攫われたら、それこそ本末転倒だ。

 オレは仕方なく、組織壊滅を諦めた。


 その後、幾つかの集団がテントを襲っていたが、未然にボコして積み上げておく。


「……そろそろ朝……か。」


 東の空が明るくなってきた。そろそろ息子も起きるだろう。オレはまた見つからないように気配を完全に断った。



〜side out〜



〜小暮真一視点〜


 僕は今、伊豆のとある建物の外にいる。何故か。それは僕の弟子を誘拐しようと企んでいたからだ。そんな奴らは僕が許さん。

 さて……外には見張りが二人いる、と。


「やっほー。」

「何者だ貴様!」

「お前達を潰しに来たしがない男だ。」

「な!?」


 音を立てずに鳩尾に一発ずつ。これだけで二人は気絶する。きちんと手加減している。殺さないようにな。まったく。向こうの世界じゃ殺人は罪にならないのにな。ここの世界はいろいろとめんどくさくて困る。


「さて……侵入しますか。」


 僕は正面から堂々と建物へと入っていく。

 途中で新たに二人の男に出会った。


「貴様! グフッ。」

「おい! 誰か仲間をフベラッ!」


 チッ、一人が大声出しやがった。集まってくるぞ……。


「おい、こっちだ!」


 奥からゴキ○リのように湧いて出てくる男共。

 仕方がないので出会ったやつを全員潰していく。気がつけば全員地に伏していた。


「みんな弱いな……。これだったらまだ獣王とかのほうが強かったぞ……。」


 まあ、関係ない話だ。


「とりあえず警察に電話しとくか……。」


 後日、誘拐団壊滅という事件が新聞やニュースを騒がせたが、彼らには関係ない話だ。


「頼んだぞ。シュウ。」



〜side out〜



〜優太視点〜


「んん……。」


 ここはどこ……?


「あ、そうだ。家まで歩いてたんだった……。」


 寝袋から這い出て、そのままテントの外に出る。

 するとテントが勝手に畳まれた。


「……。」


 僕は黙ってテントをリュックにしまった。


「よし。出発だー。」


 一人でそう宣言して、僕は片手にカ○リーメイト、片手に地図を持って歩き出した。


スタスタスタ……





 時間は9:08。僕はある事に気が付きました。


「ダメだ! このままじゃ3日はかかっちゃう!」


 そう、歩いていたので全然進んでいないのです。


「走らなきゃ……! 少しだけでも!」


 幸いなことに、ちょうど峠を越して下り坂になっていました。カ○リーメイトと地図をリュックにしまい、僕はその坂を駆け下りるべく、脚に力を込めて走り出しました。



〜side out〜



〜神野秀太郎視点〜


 うおっ! 急に走り出しやがった! やっぱり速いな! 若いって、いいなぁ……。ハッ!


「そうじゃない、そうじゃないだろオレ!」


 そう言いながら頭を抱えていると、あっという間に息子と距離を離されてしまう。


「やべっ! もうあんなとこにいやがる!」


 オレは慌てて愛する息子の後を追いかけ始めた。

 景色が後ろに流れていく。息子は十字路に入るところ……って


「危ねえ!」


 丁度交差点で息子と車とぶつかるところだった。慌ててオレは念力サイコキネシスで車を止める。その直後十字路を通過する息子。一歩間違えれば直撃していただろう。


「まだ耐久に関する修行してないって言ってたもんな……。」


 本当に危ねえ所だった……。


 その間にも息子はどんどん遠ざかっていく。オレはまた慌てて後を追いかけて身辺警護をする為に走り出した。



〜side out〜

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