第十五話

 大陸暦100年7月23日、深夜


「さて、緊急会議を始める。議題は『ユウタが自室に女性を連れ込み、あろう事かスカートを履かせたうえ、襲おうとした件』についてだ。」


 長えな。メアさんや。もっと良いの無いのかよ。

 ちなみに、リリィはおねむの時間らしく、既に部屋に戻って寝ている。


「その前に、私、ここがどこだかわかってないのだけど……」

「……ユウタは右も左もわからない少女を連れてきたというのか……」


 …………まあ、確かに俺が召喚された時も誘拐だ何だ言ったから何も言えないんだけれども……

 ん?全部話せばいいじゃんって?

 …………どうやってだ? 猿轡さるぐつわはめられて後ろ手に椅子に縛り付けられて、ついでに足も椅子に縛り付けられてるんだぞ?


「さて、そろそろ本当に事情も知りたいし、ユウタを解放するか。」

「そうね。反応もつまらなかったしね。」


 お前ら反応楽しみたかっただけかよ!?てか、出会ってから意気投合するまで早すぎるよ!

 口元の布が外される。


「プハッ!クソ……とんだ災難だ…。」


 その間に二人が手足のロープを外して………………くれない。


「え、ロープは?」

「話聞くだけなら縛られてても問題無かろう?」


 酷い!?

 陽菜に助けを求め……


「女たらしに救いはないわよ。」


 こちらも容赦なかった。ていうか、女たらしってなんだよ!俺は生涯一人しか好きになったことないわ!まあ、言わないけど。


「で、部屋で何が起きたのか、事細かに説明して貰おうか。」

「はあ……わかったよ。」


 俺は部屋でやらかした事を事細かに伝える。


「すると、私は、王族に召喚された優太に、この世界に召喚されたってこと?」

「そうだ。」

「あっちに帰ることは?」

「できない。ごめん。」


 俺はミスとはいえ、誘拐と同じ事をしてしまったのだ。俺が王族を責めたように、陽菜も俺を責めることは当たり前の事だ。

 嫌われ無いことだけを願おう。

 陽菜が溜息を一つついた。


「ハァ…仕方無いわね……。」

「へ?」


 それだけ?


「ん?なに?」

「いや、それだけで済まされるのか?俺は家に帰れない所に勝手に連れてきたんだぞ?」

「確かに、腹はたつけど、それだけね。優太を責めたところでどうにかなるものじゃ無いんでしょ?なら、責め無いわよ。(それに、優太と再会できるなんて、嬉しくないわけ無いでしょ)。」

「なんだ?最後の方よく聞き取れ無かった「何でも無いわよ!バカ!」すんませんした。」


 いずれにせよ、嫌われはしなかった……んだよな?よかった。しかし、責めることさえしないなんて、陽菜は女神かなんかなんでしょうか?

 まあ、いいかな。


「で、優太君?私からも聞きたい事があるんだけどー?」


 女神が阿修羅に変わった瞬間であった。陽菜が本当に怒ると俺の事を『優太』から『優太君』と、呼び名が変わるのだ。これ、相当怒ってるなー。

 れ、冷静にならねば……


「なななななな何かなー?」

「落ち着きなさい。この人たちとはどういう関係なのかな?」

「師弟関係のようなものです。はい。」


 間違ってはいない。いや、合ってるなこれで。


「そうなの?何か後ろめたいことはしてない?」


 してない……よな?


「してないです。」

「そう。」


 ホッ。阿修羅が収まった……と思った時、メアがよりにもよって爆弾を投下しやがった。


「そうだな。ユウタと私はここ最近毎日激しくしているだけの間柄だな。」


 ええ、激しく戦ってるねぇ激しく殴られてるねぇ(俺が)、でもそんな言い方にしなくていいんじゃないかなぁ?

 メアがニヤニヤしている。あ、コレわざとだ。


「優太君?嘘ついたのかな?」

「違う!嘘じゃない!これは、」

「問答無用!言い訳は後で聞く!」


 痛みを受ける前に気絶だ!


「ハァッ!」


 ゴウッ


 魔力枯渇で……気絶してやる……!


「あ、ユウタ。ズルい。」

「!?優太、何を……」


 そこで俺の意識は夢の世界に飛んでいった。断じて、逃げたわけではない。



 〜陽菜視点〜


 私は、優太が召喚された次の日に優太に召喚された。のだが、優太が気絶した後にメアと話したところ、既に優太が召喚されてから十日経っているとのことだった。

 まあいいや。ただ、これだけはハッキリとさせなくてはならない。


「あの、優太と激しくって……」

「それは、激しく戦っていた、という事だ。少しからかっただけだ。すまないな。」


 よかった……


「まあ最も、戦うというよりは嬲るの方が正しいがな。」


 …………。この人、どんだけ強いのよ…

 そんな事を考えていると、この女性、メアさんだったかな?が、急にニヤリと笑うと


「それより、ユウタも愛されてるな。こんなにオーラを出していて、気づかないものかなぁ。」


 などと言い出した。


「ななな、何言ってるんですか!?」

「ん?違うのか?なら私が貰うとするが。」

「それはやめてください。絶対に!」

「ハハハ! わかってるさ。それくらい。」


 そこで気づいた。からかっているだけだと。


「ーーーー!」


 それから、私達は軽い自己紹介のみを済ませ、詳しい話は明日にまわして、優太の部屋で寝ることにした。優太は既にメイドさんによってベットに放おり投げられている。


「……………。」


 横を見ると優太の寝顔があり、とてもでは無いが寝ることは出来なかった。が、しばらくすると恥ずかしさより睡魔のほうが勝り、目蓋が次第に落ちていった…。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 翌日、大陸暦100年7月24日、朝


 〜優太視点〜


「……60増えてる…。」


 魔力最大値を10で割って四捨五入した分だけ増えているのだろうか?まあ、もっと検証が必要だな。


「あれ?昨日はリビングで寝たのに……」


 メアさんあたりが寝かせてくれたのだろうか。


「にしては、全身が痛いんだよな……。」


 前に引き摺られて連れて行かれたみたいに………


「まいいか。」


 面倒くさいことは後に回して、リビングに行く事にする。痛む身体を奮い起こし、俺はリビングへと向かった。


「ユウタ、おはよう。」

「優太、遅いわよ。」


 あれ?なんで陽菜がそこに?

 あ、そうだった。俺が召喚したんだった。


「陽菜、メア、おはよう。」


 運ばれてきた料理は、俺がメアの家に来て初めて食べた、オークの肉を使ったサンドウィッチだった。

 陽菜の反応が楽しみだぜ!


「いただきまーす。」

「陽菜、これ、オークの肉なんだってさ。」

「へぇ〜、美味しいわね。そんな事より、オークなんて居るんだね、ここ。凄いところなんだね。」


 …………あれ?思った反応と違う………


「そういえば、陽菜はこれからどうすんの?」

「? ほーふんのっへ?」


 飲み込んでから喋れー。


「んくっ……。どーすんのって?」

「ああ、俺のミスで陽菜を召喚しちまったけど、送還はできないんだよ。」

「うん。」

「で、これからはどうするのかな? って。」

「優太についていくわ。旅に出るなら旅に出る。魔王潰すんなら一緒に行くわよ。あ、天国までは行かないわよ。まだしたい事あるし。」


 ……少し嬉しい自分がいる。

 付いてきてくれると面と向かって言ってくれた陽菜に感謝しつつ、食事を腹に詰め込んでいく。

 そして数分後、もう、机の中央にある皿の上のサンドウィッチは無くなっていた。


「ごちそうさま。……ってあれ?皆言わないの?」


 ゲッ。


「ヒナ、『ごちそうさま』とはなんだ?」

「私達の世界では、食材に対しての礼儀として、食べ始めにいただきます。食べ終わりにごちそうさまを言うのよ。優太、言ってなかったんでしょ。」


 …………仰る通りでございます。


「全く……優太は日本人という自覚はあるの?……もういいわ、面倒くさいことはしない人だったわね。」

「ふむ………これからはウチではいう事にしようか。食材への礼儀、いい考えだな。」

「えー、めんどい。」

「「優太(ユウタ)うるさい(ぞ)」」

「すんませんしたぁぁ!」


 陽菜には何故か逆らえない。


「お兄ちゃん、面白い。」


 リリィ、笑ってないで助けたらどうだ。


「さて、ユウタで遊ぶのもそこそこにしてだ。今日は予定を少し変えて、ヒナのステータスなどを確認しておきたい。という事で、午前中はそれに使うぞ。」

「わかった。」


 しかし、陽菜は話についていけなかったようだ。


「すてーたす?」

「ゲームとかにあるだろ?ステータスって。アレみたいなものだよ。まあ最も、特訓でも上がるようだかな。」

「なるほど!」


 納得してもらえたようで何より。


「で、メア。パーティーってのはどうやって組むんだ?」

「?? 急にどうした?」

「俺の鑑定は、パーティーを組んだ奴のステータスを見ることができるんだ。それを使おうと思ってさ。」


 万が一ここの文字がかけないと、めんどくさい事になるからな。


「なるほど、そういうことなら。お互いに接触して、お互いがパーティーを組みたいと願うと自動的に組まれるぞ。ああ、それとだな。お互いに冒険者で、かつランク差が1つの場合は、『チーム』を組むことができる。ギルドに申請するといい。」

「チーム?」


 チーレムなら欲しいけど。


「ああ。そうすると、チームで依頼を受けることができて、依頼達成の時、自分のギルドランクだけでなく、チームランクも上がるようになっている。」


 なるほど。長い説明ありがとう。後で要約された説明をアリッサにでも聞くか。


「そうか。ありがとう。という事で、陽菜。手、繋ぐぞ。」


 そう告げると陽菜は一瞬の間を置いた後顔を真っ赤に染め上げて、


「ふぇぇぇぇぇ!?」


 奇声をあげた。そんなに嫌なのか。ショック。


「あ、嫌か。すまない。」

「ち、違うわよ!ほ、ほら!」


 手を握ってきた。力強く。………痛い。


「ほ、ほら早く!パーティー組むわよ!」

「わ、わかった。」


―パーティー申請完了。受理されました。ヒナ コグレとパーティが組まれました。


「ー!?頭に何かが……」

「お、同じく…!」


 なんだこれ…。


 これの答えはすぐに分かることとなる。


「それ、魔法だ。私が考案した。」

「「!?メア(さん)が!?」」

「ああ。」


 メア、すげえ。

 さて、陽菜のステータスはー…


「【鑑定】。」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


名前:ヒナ コグレ

種族:勇者、異世界人

ステータス


レベル99


体力…2000/2000

魔力…1500/1500

筋力…510

敏捷…510

耐久…510

器用…510

精神…510

意志…510

幸運…10


装備

無し



スキル

鑑定Lv??

生物の名前及びレベルがわかる。

パーティーメンバーのステータスがわかる。

物の名前と詳細の一部がわかる。


隠蔽Lv??

自分のステータスなどを見せる際、別の数値を見せることができる。


言語自動翻訳Lv??

あらゆる言語を自動で翻訳してくれる。


魔法

炎魔法Lv??

水魔法Lv??

風魔法Lv??

木魔法Lv??

雷魔法Lv??

光魔法Lv??

闇魔法Lv??

時空魔法Lv??


 

称号

異世界の勇者

詳細:異世界から来た勇者に贈られる称号。ステータスが、体力魔力がそれぞれ2000と1500に、幸運が最大値の10に、その他のステータスが全て510に固定され、更にレベルは99となる。ただし、ここから更にレベルアップをすることはできない。

スキルや魔法のレベルは??となり、この世に存在し、かつ知っている魔法は全て使うことができる。


武術の心得

詳細:武術の経験があるものに送られる。対人型攻撃力の上昇効果が付く。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「えー…………」

「どうした?何かあったのか?ユウタ。」

「いや、あの、うん。」

「なんなのよ優太。ハッキリしなさいよ。」


 どうしようか。


「とりあえず、俺のステータスがこれね。」


 陽菜にもわかりやすいように、紙に書きながら説明することにした。


「あ、詳しいことは次回ね。」

「優太、急に上に向かって何言ってんのよ」

「いや、読者様方に、少し。」

「??読者?」

「………俺疲れてんのかな…」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


名前:ユウタ ジンノ

種族:人間族、異世界人

ステータス


レベル50


体力…570/570

魔力…610/610

筋力…203(+8)

敏捷…210

耐久…206(+3)

器用…177

精神…215

意志…205

幸運…7


装備

アイアンソード絶

革の鎧



スキル

鑑定Lv1


魔法

光魔法Lv1

 ヒール

 ハイヒール

 聖域サンクチュアリー

 フェアリーソング

 フラッシュ

 ホーリーソード

炎魔法Lv2

 フレイムアロー

 フレイムランス

 フレイムウォール

 ファイヤーストーム

水魔法Lv2

 記憶操作

風魔法Lv2

 エアーカッター

 

木魔法Lv1

 ツリーカーニバル

 ドレインシード

雷魔法Lv2

 ライトニング

 サンダーボルト

 トールハンマー

 スパーク

時空魔法Lv5

 転移門

 転移

 アイテムボックス

 召喚魔法

 フィジカル・アクセラレーション

闇魔法Lv2

 ダークボール

 ダークエクリプス

 ブラックドレイン

 


複合魔術

 風+光:閃光弾

 

 

 

称号

異世界人

武術の心得


残金:558540


ギルドランク:D

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