双子の日常

シエルはバスで通学中に双子の兄であるクダラに膝枕をしていた。

愛おしい兄の顔を見つめながら、シエルはそっと頭を撫でる。そうするとクダラは心地よさそうに表情が緩む。シエルはそれが嬉しくて動作を続ける。

そして一瞬窓から外の景色を見て、昨夜のことを思い返していた。





私が目を覚ましたら、一緒に寝ていたはずのクダラがいなかった。

「お兄ちゃん……?」

上体を起こして周りを見渡してもお兄ちゃんはいない。

ただあるのは慣れ親しんだお兄ちゃんの部屋。

本棚があって漫画やゲーム、小説やらがびっしりと詰められている。

小学校へ上がった時に買って貰った勉強机にはアルバムが数冊ある。

小さい頃から最近までの写真が納まっているはず。

この前見た時にはいつ取られたか解らない写真もあった。


トイレかな。そう思って扉の方を見る。

そのまま五分、十分、十五分。

どれだけ待っても、戻ってこない。


どうしよう。

お父さんやお母さんの時も朝、目が覚めたら何処にもいなかった。

朝早くに仕事に行ったり、家に帰ってこない時もあったけど、その時はちゃんと置手紙なり、前の日に言っておくなりしていた。

十歳くらいの時も、朝からいなくなったりしたけど、その時は一か月ぐらいで帰ってきた。でも、六年生ぐらいの時にいなくなってからは連絡も取れなくて、居場所もわからない。


そういえば私がお兄ちゃんをクダラって呼ぶようになったのも、そのくらいの時期だったも。

小さいころから周りの人から『お兄ちゃんの言う事を聞くんだよ』っていう風に言われてた。だからずっとお兄ちゃんって呼んでいたし、今でも時々お兄ちゃんって呼ぶ。

でも、クダラって呼び出したのは、二つ理由がある。

一つ目は、お父さんもお母さんもいなくなってから、何でも一人で抱え込もうとするから。

だから、クダラにとって”守るべき存在”から”しっかりした妹”になれれば負担を減らせるかなっと思った。

二つ目は、兄妹で結婚するのはダメだって、同じクラスの子に言われたから。

それまでは、お兄ちゃんと結婚したかった。でも、そういわれてからは、やっぱりいけないことなのかな、と思ってしまう自分がいる。だから、お兄ちゃんのことをクダラって呼ぶのは、ささやかな抵抗だったりもする。


「お兄ちゃん……」


名前を呼ばれるだけでとても心地よく、頭を撫でられるだけで悦楽に浸れる。

この扉の先はすごく、怖い。

怖くて怖くて仕方がない。

おにいちゃんの顔を見たい。でも、もし、いなかったら。

手が、震える。でも少しずつ、ドアノブを回して。

私は目を閉じてしまう。

どうしよう。お兄ちゃんまでいなくなったら、私は。

ひょっとしたらリビングで何かしてるだけかもしれない。

でも、そうじゃなかったら……。扉を開けても誰もいなかったら……。


扉を開けて、ゆっくり目を開ける。

そこには最愛の少年、お兄ちゃんがノートパソコンと睨めっこしていた。

「シエル……?」

私のことに気付いたようで、お兄ちゃんは微笑みかけてくる。

私は目から涙が零れ落ちる。

「え、ちょっとシエル? どうしたの」

お兄ちゃんは驚いた表情で駆け寄って抱きしめてくれる。

「どうしたの?」

優しくそう言って、頭を撫でてくれる。

「あの、ね。起きたら、誰もいなかったから、怖くて。それで、ずっと待っても戻ってこなくて、っぇぐ。私、お父さんたちみたいに、お兄ちゃんもいなくなるんじゃないかと思って」

「そっか、不安にさせてごめんね。でも、大丈夫。僕はどこにもいかないよ。僕の帰る場所はシエルだけだから」

お兄ちゃんはそういうと、おでこにキスしてくれた。

「ちょっと待っててね」

そういってパソコンの電源を落とす。

「そういえば、お兄ちゃん。こんな時間に何してたの?」

「別に……。大したことじゃあないよ。さあ寝よう」

「うん」

お兄ちゃんが何でもないって言う以上、私がどうこう言うべきじゃないのかな。

だったら、私はお兄ちゃんクダラ可愛い妹シエルでいたらいい。

そうしていれば、私たちはずっと一緒にいられる。そうだよね?





「もうすぐ着くよ」

シエルは自分の膝を枕にしている兄、クダラに声をかける。

「ん~。おはよう、シエルぅ~」

クダラは頭が回っていないようで、眠たそうな声を上げる。そして目を擦りながらシエルを視点の中心に置く。

「おはよう、クダラ」

柔らかい表情でそう言ったシエルはクダラの身体を支えて上体を起こそうとする。

クダラは体を起こして伸びをする。そしてシエルの首筋に唇を当てて愛情表現をする。

「ん~。シエル~。愛してる」

耳元でそう呟き、息をかける。

「っん、もぉ。クダ、ラ」

シエルは顔を赤くして力が抜ける。

バスに同乗していた生徒たちの視線がくぎ付けになることも厭わず、シエルの首筋に舌を這わす。

周囲の生徒たちの中で、初等部から二人を知る生徒は恥ずかしそうにしながらも、『相変わらず仲のいい二人だなぁ……』と思いながらチラチラと様子を窺っている。

シエルから離れて満足そうな顔をするクダラの横で、首筋に付着した唾液を指で絡めとって口に含む。舌先で指を味わい、唇で挟んで水分を吸い取る。

「ん、ふぅ……」

最愛の少年へと体預けたシエルは至福の表情を浮かべて瞼を下ろす。

クダラはその顔をスマホで撮影し、クラウドへとアップした。

パソコンからダウンロードして印刷するつもりなのだろう。


バスが目的地の校門前に着く頃にはシエルは睡眠に入っていたのでクダラはシエルをお姫様だっこしてバスから降りる。

その時、初等部からの知り合いである日野五月ヒノメイが声をかけてきた。

「本当、二人は仲良いね」

五月メイはそう言ってクダラとシエルのカバンを持つ。

「まあね。でも、いくら僕のシエルが可愛いからって皆、見すぎだよ」

「あはは。確かにシエルちゃんは可愛いけど、皆が見てたのはクダラ君の奇行だと思うよ?」

「そう言うメイもチラチラこっち見てたよね」

「うぐっ。バレてた……? て言うか、よく皆が見てるところで、その、そういう事できるね?」

「シエルが可愛いから仕方ない」

「でも、皆から引かれちゃうよ? 皆からは仲のいい兄妹で止まってるけど、うっすらと気づいてる人もいるよ? 二人がそういう風に思い合ってるってこと」

「さすがに引かれるかな?」

「私みたいに特別なのはともかく、クラスの大半には」

「うん。でも、この思いは止められないから。にしても、メイが百合だって知った時にはさすがの僕も驚いたよ」

「うふふ。私もフラられることは解かってたけど、あの時、シエルちゃんなんて言って私を振ったと思う?」

「ん? 何て言ったんだっけ?」

「『私はクダラが好きだから付き合えない』って言われた。その時の私、これでもかってくらい目を見開いてたと思う」

「ははは。シエルは昔からストレートだからねぇ」

「シエルちゃんのことを話してるクダラ君ってなんだか、お年寄りみたい」

「そうかなぁ……? そういえばメイは最近どうなんだ? 部活とか」

「私の方は順調だよ。後輩はかわいい娘ばっかりだし。でも一番の目の保養はシエルちゃんかな~」

「まあ、なんたって僕の妹だからね」

「クダラ君もそのシスコンが無ければモテるのに」

「それを言ったらメイだって、しゃべらなければ美少女なのに、シエルの次に」

「ま、それもそうね。私が男の子にモテても仕方がないように、クダラ君がシエルちゃんじゃない娘に好意を持たれても仕方がないもんね」

「そういうこと」

そうこうと話していると、琴葉を初等部へ送ってきたと思わしき悠里が、三人に声をかける。

「お~い、クダラ―、シエルー、メイちゃーん」

「あれ……? 悠里ぃ? おはよう? それにメイちゃんだ~」

悠里の声を聴いてシエルが目を覚ました。

そして自立するときに五月から鞄を受け取る

「やあ、おはよう」

「おはよう、シエルちゃんに悠里ちゃん!」

「うん、おはよう!」

五月が悠里のウエストやお尻を触るというスキンシップを取り出したのでクダラはシエルの肩を抱き寄せる。

「ひゃう、ちょっと、メイちゃ、ん、くすぐったいよ」

「良いではないか良いではないか」

そのまま五月が悠里の服の中に手を伸ばし始めたので「その辺にしておけ」とクダラが制する。

「は~い」

五月も引き際を弁えているので素直に止める。

曰く『しつこくすると嫌われる』らしい。

「そういえば今日日直だから職員室に行ってくるね~」

五月はそう言って去り際にクダラに「シエルちゃん泣かせたら貰ってちゃうよ~」と耳打ちした。

「相変わらず元気な娘よね~、メイちゃんって」

悠里は五月に手を振りながらそう言う。

「うん。私、メイちゃんは元気だから好き」

シエルも照れるようにそういう。

「じゃあ、そろそろ教室に行かないと遅刻しかねないよ」

気を抜いてたら本当に持って行かれるかもしれない、とクダラは肝に銘じてそう言った。

「クダラの次に、だけど」

クダラは今の所心配の余地はないと肝に銘じた一文をアンドゥした。





挨拶をして解散をした。日はまだ高く、まさしく午後だった。

時間帯的にも三時代だからまさにティータイム。

日差しは少し強いけど風があるので心地いくらいだろうか。

そして何より、今日もシエルは可愛かった。

「じゃあ、部活に行こう」

僕はシエルにそう声をかける。

「うん」

シエルは微笑むと鞄をもって立ち上がる。

立ち上がるその仕草一つがとても愛らしい。

身長153.8センチのシエルは僕よりも少し背が低い。だから僕は158センチ位かな。まあ僕の身長は別にいいとして……重要なのはシエルが可愛いってことだよね。

ちょこんとして薄い体は守ってあげたくなるし、長くてきれいな青色の髪はとてもサラサラしていて指先で触れるだけで溶けてしまいそうな気分になる。

僕は脇の間を少し開けるとシエルが腕に捕まる。

「そういえば、弓月は?」

シエルはあたりをキョロキョロして探している。

「弓月は先に行ってるってさ。悠里もいつも通り」

「そっか。じゃあ少しゆっくり行こう?」

「ああ、そうだね」

僕らは部室とは反対方向にある自販機に寄ってから遠回りして行くことにした。

夏前とは言っても梅雨が明けて、一日の平均気温が高くなっていく今日この頃だが、今年の夏は例年よりも涼しくなるらしい。

二割くらいそんなことを考えながら、残り八割をシエルについて考えていた僕は気が付けば自販機の前に着いていた。

「シエルはそこに座って待ってて」

僕はそう言ってシエルをベンチに座らせる。

ピッ、ガタン

そんな感じの音を立てて落ちてきたオレンジジュースを自販機から取り出す。

「はい、シエル」

二・三回ペットボトルを振ってシエルに渡す。

「ありがとう」

シエルはペットボトルのキャップを開けて傾けながらその柔らかい唇へと近づける。プラスティックは赤色の唇を押しのけるように、シエルの乾いた喉へとその液体を注ぎ込む。傾きは元に戻り、それと同時に唇の形は元に戻る。

オレンジ色の液体はシエルの口内に広がり細い喉を通って体内へと進軍していく。

「クダラも飲む?」

シエルは僕の方にペットボトルを刺し出す。

「うん、ありがと」

僕は受け取ってシエルの唇が触れたところを味わいながら一口飲む。美味しい。

シエルもそれに気が付いたのか、それとも日差しのせいか、顔が赤かった。

「ん、もう一口、欲しい」

唇に人差し指を当てて、シエルは恥ずかしそうに言う。

「え、シエル、ここ外だよ……?」

「でも、欲しいの。ちょうだい、お兄ちゃん」

うーん。今は人がいないと言っても決して人が通らない場所ではないんだけどなぁ。

まあ、シエルが欲しいって言ってるのにしてあげないなんて兄失格かな。

僕はオレンジジュースを一口含んで、シエルの唇に自分の唇を重ねる。

少しずつシエルの口の中へと入れて、唇を密着させて零れないようにする。

シエルの喉がオレンジジュースを飲み干したがけどそれでも離れない。

舌同士をくっつけあったり、歯茎をなめたり。

僕の袖を握るシエルの力が強まりつつも、体重は僕の方へと来る。

唾液を絡めてちゃぷちゃぷと音を立ててみる。

意外と効果があるようで、シエルが「んんっ」って声をあげてる。

僕はシエルと指を絡めて、あと一歩を踏み出した。




部室に到着したら三人でジェンガをやっていた。

今は琴葉の番のようで悠里が僕らに文句を言ってきた。

「おっそーい」

「ごめんごめん」

シエルは謝りながら琴葉の隣に座った。

僕もシエルの隣に座ると「なにかあったの」と弓月が心配してきた。

この前風紀委員が来たこともあるんだろう。また何か絡まれたとでも思ったのかな。

「いや、シエルとちょっと、ね」

「ちょっとって?」

「ナイショ」

僕は人差し指を唇の前に持ってきてジェスチャーを加えた。

次はシエルが引き抜いていたところでいきなりメイの声が飛んできた。

「なんか二人ともすっきりした顔してるねぇ~」

「うわっ! 何だメイか。びっくりした」

「えっへへ~。メイちゃんですよ~」

メイはそういうと琴葉を抱き抱えた。

「ていうか、いつからいたんだ?」

「えっと、皆が来る十分くらい前かな。驚かせようとしたけどなかなか出てくるタイミングがなくて~」

そう言いながら椅子に腰を掛けてぬいぐるみを抱える幼子のように、琴葉を膝にのせて抱き締める。

「うん、可愛い。やっぱり女の子特有の柔らかさとか、暖かさとかが最高ぅ~。ねぇ、琴葉ちゃん! 私の妹にならない? 何ならお嫁さんでもいいよ~」

「えぇ!? その、困りますぅ~」

と、琴葉が拒否。

「そ、そうよ。琴葉は誰にもわたさないわよ!」

と、悠里が却下。

「て言うか、いつも同じこと言ってるよね、メイは」

と、弓月が批判。

「メイちゃんの浮気者~」

と、シエルが幻滅。

「うぅ~。四面楚歌だよ~。メイちゃんはただ、恋多き乙女なだけなのに~」

メイはそう言って泣き真似をする。

「で、今日は部活どうしたんだ?」

僕がそう聞くとメイはパッと明るい顔に豹変して、再び琴葉を抱き寄せながら「顧問の先生が休みだから臨時で休みになったのだ~」と、人差し指を立てて宣言する。そして続けた。

「ここならゲームとかもあるし~、今日だけ混ぜてよ~?」

「まあ、僕はシエルがいいなら」

そう言ってシエルの方を見ると「私もいいよ~」と、頷いた。

「まあ、私もいいわよ」

「私も~」

悠里と琴葉がそれぞれに許可して、弓月も頷く。

「わ~い。なにするなにする~?」

「そうだなぁ、う~ん。人生ゲームとかはどうかな?」

僕の方を見て言う弓月に、数秒考えてから返事をする。

「ん~、今日は弓月に任せるよ」

「それじゃあ取ってくるよ」

メイは琴葉を離して元の席に座らせ、シエルの隣へ移動しながら弓月を見送る。

悠里が解放された琴葉を堪能し初め、その向かい側でメイはシエルに抱き着き、髪毛に鼻を押し付ける。

「もぅ、メイちゃんくすぐったい」

「ふへへぇ、シエルちゃん可愛い良い匂い好き好き」

メイはシエルに抱き着き、愛情表現として頬っぺたにキスをしてる。

「助けてクダラー」

満更でもなさそうにシエルは僕の方に手を伸ばす。

僕はシエルの手を握りしめて言う。

「照れてるシエルもかわいいなぁ~」

メイが首筋に唇を当てた所で弓月が帰ってきた。

「戻ったよ~」

「あ、お帰りなさい~」

琴葉がそういい悠里も出迎える。

「おかえり~」

「随分と楽しそうだねぇ~」

弓月は僕に箱を渡しながらシエルとシエルに抱き着き、服の中に手を入れているメイに向かって言う。

「えへへ~羨ましいでしょ~? シエルちゃんの柔肌すごいんだからね」

「知ってるよ、クダラから毎日聞くから」

僕は箱から中身を出しつつ抗議する。

「毎日じゃあないぞ」

「うん、一週間のうち五日は聞くね。土曜日とか日曜日でも『シエルが可愛すぎる』って電話来ることあるよね?」

「シエルが可愛いから仕方ない」

「ほんと、二人は仲のいい兄妹だよね~」

悠里は琴葉とスキンシップを取りながら言った。

「まあ悠里たちも十二分に仲がいいと思うけどね」

「私とお姉ちゃんの絆は世界一です」

琴葉もそう主張して、準備が完了した。

「じゃあ、雑談もここまでにして始めよう。僕が銀行やろうか?」

確か前やった時も弓月が銀行だった。だから今日は引き受けよう。

「いや、今回は僕が銀行やるよ」





結果、悠里が借金をやっとの思いで返済してゴールした。

一番の百万長者はシエルで、二位のメイと多額の差があった。

「さすがだね、シエルは」

そういいながら頭を撫でてやると嬉しそうに微笑んでいた。

「えへへ~まぐれだよ~」

「メイには何も言ってないけど?」

「うぅ~シエルちゃん。クダラ君が虐めるよ~、慰めて~」

そういって五月はシエルに抱き着く。

「よしよし」

シエルは猫を撫でるようにメイを撫で始めた。

なんだかんだ言ってもメイのシエルに対する気持ちは変わらないらしい。

シエルもメイはお気に入りだ。昔はメイと一悶着あったけれど話せば僕らのことを理解してくれた。そして少女趣味だ。

根拠としては小柄な娘にしかアプローチしていないからだ。メイよりも背の高い娘がお気に入りなんて聞いたこともない。

まあ、真偽は置いておいて。そんなメイだからこそシエルにさえも秘密の話ができる。


「じゃあそろそろ片づけよう」

最下位だった悠里が落ち込んで琴葉に慰められていたけど、立ち直ったみたいだ。

「そうだな」

僕はそう言いながら手伝う。

「悠里は本当に運が悪いね~」

と、シエルが言い、僕が二射撃目を発砲する。

「絶対馬券とか買っちゃいけないタイプだよね」

「うぅぅ……」

悠里は肩を落としたが、そこに琴葉が救いの三射撃目を打ち込んだ。

「お姉ちゃん! 人間の運じゃないよ!」

おそらく人間は運じゃないよと励ましたかったんだろうね。いや、にしても、まさか言葉の三段撃ちが成り立つとは。

悠里は涙目になっていたけど、メイと琴葉が慰めてるから片づけを続けるか……。

「後は僕がやるよ」

そう思ったら僕がよそ見している間に弓月がほとんど終わらせていた。ふむ、じゃあシエルを膝枕しよう。

「シエルー」

僕は呼びかけながら太ももをポンポンと叩く。

「ん、クダラ」

シエルは意図に気付いたのか、僕の太ももに頭をのせる。

「シエル、愛してる」

「うん、私も好き」

その後、僕は悠里が立ち直るまでシエルの頭をゆっくりと撫で続け、しっかりと堪能した。

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