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想像の余地

螺旋第10話「選択」は、パーティの後、レッドシールド邸のバーでデイヴィッドとジョナサンが酒を飲みながら語り合う話です。
冒頭、単にスコッチを飲むとある。こうなると読者さんは「この二人ならどんな銘柄を飲むのだろうか?」と考え始めるでしょう。
作者である私が考えた流れを簡単に書くと、
デイヴィッドは気分が高揚していることもあり、せっかくだからと普段は口にできないお酒「マッカラン グランレゼルバ」を頼む。言わずと知れた「シングルモルトのロールスロイス」ですね。ジョナサンの姉ベアトリスが乗っているロールスロイスからの連想でもあります。そして、シェリー樽で貯蔵されたこのお酒を一口飲んで口腔に広がったシェリーの香りを味わいながら、18年の熟成期間を経た40歳前後の自分に思いを馳せ、「このような香りを纏った男になってみせる」そうデイヴィッドは考える。男が纏う香りとは、やはり「女性」。そこからパーティでの出来事を想起するわけですね。
対してジョナサンはと言えば、「ラフロイグ 30年」。アイラの地で育まれたフルーティー且つスモーキーなこの逸品。30年後と言えば、ジョナサンにとって目の上のたん瘤である父親の年齢。その歳になった時にこの酒のような多様性と渋さを併せ持った類を見ない逸品と称されるような男になりたい。そのためにはどの道を選ぶべきなのか。
簡単に書くとこんな感じなのですが、これを全て文章にしてしまうと読者の想像の余地が無くなってしまいます。なので、書かない。きっかけとして、スコッチとラフロイグだけを文章に忍ばせた次第です。

小説は読者の中で完成する(^^)

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