みなさんこんにちは。現在連載中の、【前世は聖剣で戦う乙女ゲームのヒロインでしたが、今は現代に転生してJKやってます。 〜同じクラスにかつての宿敵だった魔王っぽいのがいるんだけど〜 】で主人公をやってる、貝塚恵美です。
本作品を読んだことのない方は初めまして。読者の方は、いつも応援ありがとうございます。
まだ読んだことのないという方は、ぜひ一度覗いてみてください。
https://kakuyomu.jp/works/16817330649422201857さて、今回私が近況ノートに登場したのは、作者が考えたのはいいけど本編には入りきらなかった小ネタを、この場で発表しようと思ったからです。
時間軸で言えば、本編開始の少し前。本編読んだことのないという方も、よかったら見ていってください。 それでは、はじまりはじまり~
◆◇◆◇◆◇
私、貝塚恵美には前世の記憶がある。しかもその前世で起きた出来事は、乙女ゲーム『ウィザードナイトストーリー』の内容とそっくり。 そしてゲームの主人公エミリアは、見た目まで私と瓜二つ。どうやら私の前世は乙女ゲームの主人公で、そこからこの世界に転生したみたい。
乙女ゲームに転生したって話はよく聞くけど、その逆バージョンってわけ。
だけど私は、そのゲームをやったことがない。だって、前世の自分が恋する様子を見せつけられるんだよ。そんなの、恥ずかしくってどうにかなりそう。
私の親友にしてゲームの大ファンである小百合は何度も勧めてくるんだけど、いつも丁重にお断りしている。小百合としては主人公そっくりな私がプレイするところを見たいんだろうし、ゲーム仲間がほしいんだろうけど、ごめんね。
だけど、小百合のゲーム仲間は思わぬところで増えることになった。
始まりは、私が家のリビングでテレビを見ていた時。急にお父さんがやって来て、突然こんなことを言い出した。
「恵美。このゲームの主人公、本当にお前とそっくりだな」
「えっ? どうしてお父さんがそのゲーム持ってるの!?」
お父さんが持っているのは、『ウィザードナイトストーリー』のゲームソフト。お父さんも時々ゲームすることはあるけど、乙女ゲームをやってるなんて話は聞いたこともない。
「今日小百合ちゃんがうちに遊びに来た時、恵美がゲームのキャラにそっくりだって言ってただろ。何の話かと思って聞いてみたら、これを貸してくれたんだ」
「小百合、お父さん相手に何やってるのよ……」
多分、私がなかなかゲームをプレイしてくれないから、先に家族に勧めることで外堀を埋めようとしてるんだろうな。
けど、だからって友達のお父さんに乙女ゲームを勧めたりする?
「せっかくだから、これから母さんと二人でプレイしようと思ってるんだ。せっかくだから、恵美も一緒にどうだ?」
お母さんまで何やってるの!?
そりゃ、娘とここまでそっくりなキャラが主人公なら、ちょっとは気になるかもしれないけどさ。
そして、一緒にやらないかと誘ってくれるのは嬉しいんだけど、答えはノーだ。
「やめとく。それって、私に似た主人公の女の子が男の子と恋愛するってゲームでしょ。お父さんやお母さんが一緒だと、自分が恋愛してるところを見られてるみたいで恥ずかしもの」
「なんだ。確かにこの主人公は恵美に似てるけど、ゲームの中の話だろ。気にすることないと思うけどな」
いいえ、気にします。だって私にとって、その主人公は単なるゲームのキャラじゃないから。前世とはいえ、自分自身。その恋愛模様を親と一緒に見るってのは、いくらなんでもきつすぎるよ。
こうして私は誘いを断り、ゲームはお父さんとお母さんの二人のですることになりました。
そして、数時間後……
「うわぁぁぁぁぁっ!」
お父さんのけたたましい叫び声が、家中に響く。
何事かと思ってお父さんの部屋に行ってみると、そこには『ウィザードナイトストーリー』をプレイしながら泣いているお父さん。それはもう、びっくりするくらいの大号泣だ。
その側には、一緒にプレイしているお母さんがいた。
「ねえ。お父さん、なんでこんなに泣いてるの? このゲームって、そんなに泣けるやつなの?」
そう聞いてみると、お母さんが笑いながら答える
「うーん、泣けると言えば泣けるわね。お父さん、プレイしているうちに、恵美もいつかはこうして男の人とと付き合うのかって想像しちゃって、気がつけば泣き出しちゃったの」
「そんな理由!?」
その後もお父さんは泣きっぱなしで、結局ゲームはプレイ中止。一人も攻略することなく、小百合に返すことになりましたとさ。
※読んでくださってありがとうございます。
よろしければ本編もどうぞ。
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