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不眠症のあたまが何か言いたいらしい

 物語を紡ぐことは、おそらく人類が言語を体系的なシステムとして獲得して以来、数万年にわたって続けられてきた営みであると、思います。

 でも、文字を持たなかった時代は、物語は口伝により継承されていて、当然、失われたパートもあったと思います。

 紙と文字が揃い、創作が活発化した最初の時代が…… 平安時代ですよね? でも、この時代は、回し読みや、手作業での写本作成しかできなくて、ごく一部の界隈にしか小説本は流通していませんでした。

 小説作品が、本格的に町人文化として一般化するのが、江戸時代。
 現在でも、本屋さんに並んでいる南総里見八犬伝は、江戸時代に出版されたものなのだそうです。金属活字ではなく、木版ですけど。

 そして、昭和時代。高度成長期から昭和末期までは、おそらく、たくさんの物語が、紙とシャープペンシルや万年筆で書かれて、そのまま廃品回収や焼却処分されていた時代だと思います。

 理由は簡単で、ワープロもパソコンもインターネットもなかったからです。
 
 私が書いた作品を多くの人に見てもらいたい。

 という欲求を叶えるには、出版するしかなかったのです。
 そのためには、商業作家になるしか実用的なルートはない時代でした。

 20世紀末、インターネットというものが出現しました。
 当時、ジオシティーズなどホームページが作れるサービスで、最初に用意されていたメニューが、日記や小説でした。
 ナローバンドで、ぴーぴーがーがー やってましたから、動画なんてもっての外、文字以外のモノを送るのは至難の業だったのです。

 でも、ここまで来ても、ホームページを作らないと、小説を発表できなかったのです。感想が欲しいと思えば、掲示板を設置するのも、自分でやらなきゃいけなかったのでした。


 2010以後、スマートフォンが普及し、同時期に、小説家になろうさんがシステムを現在のモノに改良しています。
 誰でも、小説を思いついたらすぐ投稿できる時代が来たのでした。

 そして、2021年――
 まもなく我が国の歴史で、最高に競争環境になった小説コンテストがやってきます。カクヨムコン7です。

 なに、この長いアオリは…… って、思うでしょ。
 誰でも、小説を書いて公開して、読者選考で星獲得競争に晒さられるというのは、長い我が国の歴史文化においても、こんな規模で出版チャンスを巡る戦いを、それも読者選考で行うのは、いまだけだと思いませんか?

 平安時代や室町時代に書かれていたかも知れない多くの作品は、戦国時代に京都の町とともに焼失していたかも知れないので、応仁の乱と読者選考―― 生き残りをかけて戦うなら、どっちが良いのか? と問われたら、やっぱり読者選考でしょうか?
 
 でも、読者選考は、どんな素晴らしい作品であっても、読者選考で星を集めないと、編集者が目を通すこともなく、敗退決定というすごいシステムなのです。
 でも、カクヨムコンが始まって5年程度の期間は、作品が多くても読者は少なかった。そのため、通過ラインは★≧50が最低ギリギリくらいであり、作者の営業活動でまだ何とかなったのです。

 でも、カクヨムコン7は…… 星の供給数が増えて、営業戦術が通じなくなると、そんな気がしています。

 先日、ネットで以前のラノベと最近のWeb小説についてのお話が、話題になってましたから、つい……

 で、これからはというと……
 作者・出版社・読者(あと、イラストレーターとエージェント会社)で経済が回る時代が来る。
 そんな気がしています。

 ライトノベルやUGCでは、
 書店さんへは、書籍化した実績作りで何割か流れるだけで、多くは電子出版や何らかの収益化サービスで流通するようになると、そんな時代が来ると思うのです。

 南総里見八犬伝は、挿絵付きで出版されていました。
 Web小説も、挿絵付きが一般化するそんな気がしています。

 実際に、「たいあっぷ」さんというサービスがあり、カクヨム作家さんも参加されているみたいです。まあ、微妙な部分が色々と散見されるので、お勧めはしませんけど。

 ◇  ◇

 前置き、すごーく長くなりました。

 私がいま考えているのは……
 ・応援活動がやりにくい気がする。
  無言星が増えたせいか、レビュー頑張っても、多勢に無勢というか、無力感が激しいです。

 ・ファンアート描くのも、何気にやりにくい。イラストの世界は収益化が先行してますから、作家もこれからは挿絵を発注する時代が来るんじゃないかと、そう思うとファンアートって時代に逆行している気もするのでした。

 リアルでも、すごーく頑張ったのに、全体として上手く行ってるけど、成果は他の誰かモノみたいな展開が多くて、つらいです。
 あと、「キミはデスマーチ経験者だから、ここでも色々お任せしたい」といわれる展開が多くて、つらいです。
 人間は、やはり、死すべき時に死なないと、社会的にはダメみたいです。無限に業務改善して無限に効率化できる…… なんて、あるわけないじゃない。

 最後に、ひとこと。

 競争環境では、フリーライダーが最強だ。
 ドライに割り切って、「あれ俺、これカノ」といえる顔面の表面硬化装甲の厚みが、生存性を担保してくれる。

(レビューと応援コメしか書けないカクヨムさんのシステムってやっぱり問題あると思いませんか? せめて誤字脱字報告とか、直した方が良い点を希望者だけには送信できる機能とか……)

2件のコメント

  • おはようございます、お疲れ様です。
    カクヨムは基本、なろうの次に大手のweb小説サイトなんですけどね。
    やっぱりこう、物足りなさや至らなさを感じることはあると思います。
    自分の周囲で最近、ノベリズム等に移民する方が多いのも仕方ないかと。
    多種多様なweb小説サイトが生まれて、選択肢が増えたんですよね。
    その中でカクヨムは、今後どう独自色を出してゆくのか…

    読者選考はですねー、あれって誰も得してないと思うんですよね。
    ☆は全部「小説の評価」か「小説以外のなにかの結果」かがわからない。
    カクヨムの運営さんさえ、その全てをシロクロ付けられないんですよね。
    そんなグレーゾーンの中で上を目指すのは、正直キツいんですよね…
    ま、あまり気負わずに書いて読んで、思った通りに評価すればいいかと。
    正直あまり結果には期待できてないですが、自分は今年も出るつもり…
    でも、よしんば賞を取って出版しても、その先がない感じはありますね~
  • 返信ありがとうございます。
    読者選考は、そろそろやめた方が良いかな? と思います。
    カクヨムさんが始まったころは、ユーザーを増やすのための目玉だったと思いますが、サイトが大きくなった以上は、もう要らない気がしてます。

    実際、カクヨムコン6のどんでん返し部門みたいに、運営さんもユーザーのハンドリングを失敗してますから。


    賞を取って出版しても、その先がないというのは、そうですね。無料で読めるモノを売るのは、大変なのでしょうね。


    ノベリズムさんは、実力者を厚遇する方向性みたいなので、そういう意味でよい場所かなと思います。

    私は、みんなが楽しい場所が欲しいのだけど、難しそうです。
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