いつもお読み頂きありがとうございます( ;∀;)
るしあん様 西しまこ様、三毛猫みゃー様、鳥尾巻様、クロノヒョウ様、あるまんさん、矢口こんた様、桔梗 浬様、ふむふむ様、保紫 奏杜様、三流FLASH職人様、幸まる様、竹部 月子様、和泉将樹様、八万さん、獅子2の16乗様、八木崎さん、早乙女 又三郎様、火ノ鳥 飛鳥様、西之園上実様、豆ははこ様、大入 圭様、結音(Yuine)様、壱単位様、あまくに みか様、にわ冬莉様、ThinkingExperimenter様、しぎ様、蜂蜜ひみつ様、さらにスペシャル強制参加事後承諾ゲストとして、涼ちゃん、深川我無様。
皆様、ご参加ありがとうございます。近況ノート限定短編、第1話公開でございます。次話は書きあがり次第、随時公開致します。
さて、自由に書かせて頂きましたが、寛容にもご出演者頂きけました皆様におかれましては、各キャラ造詣やエピソードにつきまして、ご不満やお怒りがございました場合、すぐさまお申し付け下さいませ。お名前のご使用は即刻取り下げますので、どうかお許し下さい。尚、特にあるまんさん、あの、その、ごめんなさい……(逃亡)。
ではでは、31人の書き友の皆様と私、福山典雅も登場する近況ノート限定特別短編、開演でございます、ぱちぱちぱちぱち( ;∀;)
「 Re: plan×××× ~未果てぬ嘘をついた君へ~」
私が観たこの光景を誰に伝えよう。
私が知ったこの感情を、どの様に表そう。
そして、ただ、立ち尽くした。
消えてしまったすべてを胸に。
忘れられない想いのままに……。
「はぁはぁ、はぁはぁ」
西しまこは極度の緊張状態にあった。
とは言え、自分の中で「はぁはぁ」言っている事に対し、「少しお変態みたい」とどこか嬉しそうにツッコみを入れる。だが、はたと思い直し、全身の発汗、指先の震え、激しい動機を再び強く意識した。
ここは彼女の住む街の一角、其処に建つとある和風家屋の一室である。深夜2時を過ぎ、静寂と暗闇が望洋とただ広がる中、彼女の目の前には奇妙な寝息を立てる男がいた。
「おっぱい、おっぱい、ぱぴぷぺ、ぽぽぽ」
意味が分からない奇妙な男の寝言。
しまこは軽い目眩と同時に、失望感と憐憫が思わず入り混じる。だが、すぐに己の中の殺意を膨らませ、手に持つ巨大な丸太を両手でぎゅと握り込んだ。
そして隣で同じく武骨な丸太を握り込む豆ははこが、暗殺者の如く鋭い視線を向け、小声で囁いた。
「せーのでやります、しっかり力を込めて下さい、しまこさん、そして皆様!」
不穏な暗闇の中、一斉に頷く一同。そこには、西しまこ、豆ははこ、結音(Yuine)、クロノヒョウの四人が、こんな深夜に「はぁはぁ」とお変態の如く息を荒げながら、揃いも揃って人の身の丈を上回る暴威な丸太を握っていた。
色々な意味で不穏な4人に囲まれ、その中心で呑気に眠る男、名はあるまんと言う。
町内でもお茶目で愉快な男として親しまれており、時折市報に朴訥で鋭意な私小説を寄稿する名士でもある。ここに集う4人は勿論彼を知っている。いや、寧ろ非常に親しく交流する間柄だった。そう、だった、のだ。
三か月前の事だ。
世界を恐怖が襲った。
東欧より発生した軍事用ウイルスの暴走が瞬く間に各国に広がり、世界は未曽有の危機を迎えた。
この恐怖のウイルスに対抗するワクチンはなく、感染速度の尋常ではない早さから、人類という種はまさに滅亡の危機に瀕した。
世界に仇なす軍事用ウイルス、その名は開発者が子供の頃から大切にしていた「たぬきのぬいぐるみのぽんたくん」にちなんで、「ぽんた2号」と名付けられている。
緊張感を削ぐその愛らしい名称とは裏腹に、圧倒的に狂暴で残酷なウイルスは、人体に感染後わずかコンマ8秒の間に、DNA組織を瞬時に書き換え、凄まじい脅威を伴ない全身を侵食、異常な速度であらゆる体細胞がまったなしで急速に変化する。
その恐るべき恐怖の先、B級映画のゾンビなどこけおどしでしかない「異形の生物」へと人類を変えてしまう。
いま、目の前で気持ち良さそうに眠るあるまん。豆ははこはその変わり果てた姿を目撃し、変わり得ぬ親愛の情を胸に抱いたまま、その瞳を潤ませた。
「……あるまんさん、今から、……今からあなたを楽にして差し上げます」
涙を堪え悲し気な表情で呟く彼女の視線は、人では無くなったあるまんの特徴的な頭部、「異形の生物」の象徴足る「あるもの」に注がれていた。そこには、
もふもふで愛らしい「獣耳」が生えていた。
バイオハザードを巻き起こした「ぽんた2号」、その恐るべきウイルスは男性をたぬき型獣人に変え、女性は狐型獣人へと変貌させてしまうのだ。
恐ろしい。まさに恐怖だった。
さらに耳だけではない。キュートな尻尾もあり、勿論もふもふだ。それはもう、ふわふわとやわらかそうでなめらかなのだ。個体差はあるが、もうそこら中で誰も彼も、もふもふだ。
この異形の姿への変貌、その恐怖に人類はいろんな意味で存亡の危機に瀕していた。
「ひっ!」
緊張感が高まる中、思わずしまこが怯える様に小さく声をあげた。
寝返りをうち「う~ん、あはん」と布団を蹴ったあるまん、その隠された下半身が露わになったからだった。
怯え引きつるしまこ、その肩に結音(Yuine)が励ます様にそっと手を添えた。
「確かに立派なたぬきのき〇たまですね」
パジャマの下、異様なサイズで大きく膨らむそれ。
結音(Yuine)の冷静な声と対照的に、覗き込んだクロノヒョウがその好奇心を刺激され「こ、これは是非計測しなきゃ! 触ったら駄目ですかね?」と呟いた。
だが、すぐさま豆ははこが皆の緊張感を取り戻すべく、そのたぬきのき〇たまを指差す。
「この袋の部分で『ぽんた2号』ウイルスが作られると聞きます。いいですか、しまこさん、まだ安全ですから、しっかりとゴマをすり潰す様に、丸太で叩いて下さい」
「は、はい!」
怯えていたしまこの脳裏に、かつて人であった時のあるまんの無邪気な笑顔が浮かんできた。穏やかで優しかった彼はいつも笑っていた。しまこはそっと記憶の中のあるまんに、優しく声をかける。
さよなら、あるまんさん。
あなたの人としての尊厳を取り戻す為に、
私達に出来る事を、その救いを、
今夜、実行します。
ありがとう、あるまんさん、あなたの事を忘れません。
そして、さようなら。
刹那、豆ははこが決意を促す様に素早く目配せをし、全員が丸太を勇ましくも大きく掲げ、その呼吸を合わせると同時に、強き決意を込め高らかに叫んだ。
「「「「ふるえるぞハート! 燃えつきるほどヒート! 刻むぞ血液のビート! せーのっ!」」」」
どすどすどすどすどすどすどす――――――っ!
「ふぎゃあああああああああああああああああああああああっ!!!!!」
「「「「おらおらおらおらおらおらおらおらおら!!!!!」」」」
四人の叩きつける丸太が、まるで餅つきの様にあるまんを殴打し、凄まじい血飛沫の中で、割と容赦ないなぁって感じで絶命させた。
「想定を完全に越えているな……」
ラボの中で百を超える解析モニターを睨む三流FLASH職人博士の声が、ため息とともに漏れた。
「信じられんな」
同僚である火ノ鳥 飛鳥博士が、コーヒーカップを片手に持ったまま唖然と画面に食い入る。
「ありえません、こんな、こんなに……早過ぎます」
驚きの感情を露わにし、保紫 奏杜博士の震える声がラボ内に響いた。
三流FLASH職人博士は最先端遺伝子工学に置いて、学会の異端児、いや忌避すべき存在として恐れられていた。
彼がマウスでの実験では飽き足らず、発展途上国よりストリートチルドレンを誘拐し、非道な人体実験を繰り返すマッドサイエンティストである事は、その筋では有名な話だった。
「もはや、人類の95%がウイルスに侵され、その姿を変態してしまったな」
淡々と事実を告げる三流FLASH職人博士に、二人が驚きのままに呟く。
「人類が変態している……」
「まさにお変態だわ……」
冷静に解析を続ける世界最大の量子コンピューターから、人工知能「にわ冬莉」の声がその場に流れた。
「私達の罪の行方、いよいよ始まるのね。でも、全部私のせいとも言える」
人工知能「にわ冬莉」の悲痛な声に、三流FLASH職人博士が静かに答えた。
「君は悪くない。これは俺達4人で決めた事だ。例え神を敵に回そうと、俺は一切の後悔も躊躇もない」
その言葉に火ノ鳥 飛鳥博士と保紫 奏杜博士も同意を示した。
シェルターと化したラボは、静かに世界の、人類の、その終焉を見つめ続けている。
「これで全部ですね、いそいでトラックに戻りましょう」
西之園上実は深夜のショッピングセンターで台車を押しながら、すぐ隣で丸太を構え周囲を警戒する獅子2の16乗を促した。
「大漁だ、ははこさん達も喜ぶだろうな」
多くの食料や物資を確保出来た喜びから、獅子2の16乗が安堵の表情を示した。
彼らは豆ははこを中心に生き残った人々で形成されるコミュニティー「KAKEKOTOBA]のメンバーだ。二人はバイオハザード後の物資調達と偵察を主な仕事としている。コミュニティーでは複数班に別れ他のメンバーも同様に行動していた。
ただし、レスキュー隊員であった西之園上実と自衛官であった獅子2の16乗、共に腕に覚えのあるこの二人は主に危険な最前線へと出動する様にしていた。
「しかし、獅子2の16乗さん、噂はどうやら本当みたいですね」
「ああ、どうにもその様だ。隣の地区では既に獣人達による復興が始まり、社会基盤が再構築されつつあるとみて間違いない」
「このショッピングセンターも昼間には獣人達が視察に来てるみたいですしね。いくつかの痕跡がありました」
言葉を交わす二人はその表情に厳しさを漂わせた。西之園上実は押しかかる不安をかき消す様に、努めて明るく声を出す。
「でも人類だってやらっぱなしではないでしょうし、いずれきっと対抗する術だって見つかりますよね」
「だといいがな。だけど、西之園、敵にチェックされるから電子機器が使えない俺達の情報網は、唯一短波でキャッチ出来る《ゲリラレディオ》だけだ。果たしてその情報が正しいかどうかも、確認出来ない。ぬか喜びは禁物だぞ」
「私は福山さんの情報は正しいと信じますよ」
「ふっ、まぁよくわからんが、この暗い時代に面白い人物だというのは間違いない。俺は軍人だからな、ああいうタイプの人間とは仕事で接する事もあったしな」
再び微笑みを交わす二人。コミュニティ―「KAKEKOTOBA]では、外界の情報をラジオにて得ていた。メンバーの中に無線が得意な仲間がおり、密かに生き残りを探していたある日、《ゲリラレディオ》という個人パーソナリティが発する電波をキャッチした。
その内容は様々な地区の生き残りに向けた物資の場所や、獣人達の情報、さらには今回のバイオハザードの核心に迫るモノであったりする。
パーソナリティ福山典雅なる人物は個人では知り得ない内容を網羅していた。その事からコミュニティでは政府の特殊機関、その関係者ではないかと噂されている。今晩二人が忍び込んだショッピングセンターも、彼の情報により安全かつ物資が多いと報告されたものであった。
「これで全部です」
裏手にある搬入口に横付けされた軽トラックの荷台に、多くの物資を積み終え、西之園上実が一息ついた瞬間だった。
「西之園、やばいぞ! 急いで乗れ!」
突然、緊迫した声を獅子2の16乗が発し、腰の後ろに挟んでいた拳銃を握ると、素早く運転席に飛び込んだ。スターターの音と同時に助手席に慌てて乗り込んだ西之園上実が、フロントガラス越しに何かの蠢く気配を感じた。
「確かに、やばそうですね!」
「くっ、西之園! とにかく逃げるぞ、しっかりつかまれ!」
叫び声と同時に軽トラのタイヤが、けたたましいスキール音をあげて発進した直後だった。
ドカッ!
車両の真横から激しい衝撃が加わり、凄まじい勢いで軽トラは幾度も横転しながら吹っ飛ぶ。
「「ぐっ!」」
訓練された二人は瞬時に身を守り、車体が停止すると同時に吹っ飛んだ軽トラのフロントガラスを肘で打ち壊し、転がる様にして車外に飛び出した。
瞬間、その身が凍り付いた様に身動き出来なくなった。
何故なら、どこから現れたのか、数百を超える女型の狐獣人達に囲まれていたのだ。
警戒しつつ脂汗がじっとりと頬を伝う二人の視界。この世の者とは思えない姿で、驚くほど溢れかえる女型の狐獣人達。その中心で理解を越えた超常の力なのか、宙に浮かぶ異質な存在がいた。
月明かりを受け、腰まである長い銀髪を不気味に光らせ、頭部からは同じく銀色の耳と角が生えている。そして怪しげな命の迸りが蠢く真赤な瞳を、ただ真っ直ぐに向ける異形の存在。その尾は九本あり、闇夜に輝きふわふわと優美に揺れていた。
拳銃を構えながら、獅子2の16乗が震える声でその絶望を吐き出した。
「まさか、あれが、鬼狐の壱なのか……」
瞬間、彼の視界が赤く染まった。
「ハロー、ハロー、福山・オン・ゲリラレディオです!
てやんでぇ、べらぼうめ、このすっとこどっこい。人類なめんじゃねぇぞ、てなもんです。みんな聞いてる?
今日は新たな情報を伝えます、バイオハザード、そのウイルスプログラム、実はランダム変化を促す因子が組み込まれていたみたいです。なんなんだそりゃって感じだけど、変位種鬼狐《壱》の噂を知ってますか? あれは、確実に独自進化した個体で間違いないです。今後も他の獣人達から予想外の何かが生まれるかも知れません。だから、みんな、そんなバケモンに出会ったら、戦おうなんて考えず、まずは逃げる事です。
それと、ウイルス開発を行なったノルウェーの施設、TVで言ってたHDR研究所というのはダミーでした。初期に全世界を駆け抜けたニュースは、メディアコントロールされています。
現在、確認出来てるだけでも、実は感染ルートは複数存在してます。意図的に全世界で同時に行われたであろう事が濃厚だと僕は判断してます。信じられますか? この悲劇を、どっかの馬鹿野郎が意図的に仕組んでいるんです、僕は徹底的に追跡するつもりです。
では、半世紀前のグラムロックナンバー、T-REX《20thセンチュリーボーイ》を聞いて下さい、みなさん、希望を胸に、今日もがんばんぞぉおおお!」
第2話、近日公開 to be continued
With gratitude to many friends