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暇つぶしにどうぞ

〇以降は<俺は『逃げ足』専門スキルクリエイター>のボツにした導入部分です。

 ウッドの過去などいくつかの設定が含まれるので一応残しておくことにしました。
 本編とは違ってウッドの一人称視点で書いています。


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 俺の名前はウッド・スチール。しがない冒険者さ。と言っても今はもっぱらスキルを生み出す仕事しかやっていないがな。

 スキルというのは経験により発生する技能のことだ。料理や裁縫、大工といった腕前に関することから、計算や言語といった頭脳にかかわるもの、果ては剣技や火魔法といった戦闘系統に至るまで幅広い。
 なくても活動そのものはできるんだが、あった方が断然有利になる。
 料理で例えるなら、スキルのない俺とスキル持ちの料理人が同じ食材を使って同じ手順である品を作っても、手際から見た目から味まで段違いの完成度になるのだ。もちろん、スキル持ちの料理人の方が美味いという意味でだぞ。

 そして今からおよそ百年前、何とかっていう偉い錬金術の先生が画期的な発明をしたんだ。俗に『スキルのオーブ化』と呼ばれている現象だ。
 元々は罪人の能力を奪うために開発されたものだったらしいんだが、オーブ化されたスキルを別の誰かが取得できることが分かったことで、一気に大陸中に広まることになる。

 ちなみに、オーブ化してスキルを消失しても再度経験を積むことで生み出すことが可能だったりするぞ。

 まあ、さすがに永続的に使用できる等といううまい話ではなく、オーブから取得したスキルは十日前後しか使用できない、という致命的な弱点がすぐに発覚することになるのだが。
 それでも、お貴族様がいざという時の備えに強力な魔法スキルを買い求めたり、騎士団や冒険者が魔物退治の切り札として戦闘系スキルを使用したりと、この新技術は廃れることなく人々の間に浸透していくことになったのだった。

 さて、話を俺自身に戻すとしよう。俺が主に生み出しているスキルだが、名を『逃げ足』、敵から逃亡しやすくなる効果がある。

 お?今呆れた顔をしたな?
 ああ、別に怒っちゃいねえよ。きっと十年前の俺が聞いたら鼻で笑っていただろうからなあ。これでも若い頃は探索要員《シーカー》として、高ランクのパーティーで迷宮に潜っていたりもしたんだぜ。

 何があったのかだって?よくある話さ。そのパーティーがある事情で解散した後、ソロで迷宮に潜ったときにドジを踏んじまってな。利き腕をダメにしちまったんだ。
 罠を発見できても解除できないようじゃ、シーカーとしては三流もいいところだからな。そんなやつを仲間に引き入れようとするもの好きや変わり者はいなかった。

 まあ、しばらくは未練がましく迷宮の浅い階層に行ったり、冒険者協会で若手を相手に公衆の真似事なんかをしていたんだが、これがまた実入りが悪くてなあ。結局その日の宿代すら稼げなくなって、最後は逃げるようにしてそこを離れてこの街に流れ着いたって訳さ。

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以上となります。
本編の方や連載中の作品もよろしくー。

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