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花籠の狼の章あとがき

あとがきというよりは、解説なのかもしれないと思い始めた今日この頃。ネタバレ含みますので、章の最後までお読みになってからどうぞ。



ネタバレ注意↓




狼が囚われたのは、鳥籠ならぬ花籠でした。


24『月夜の追跡者』
この章から『』でサブタイトルが付いた話が入ります。セラとアルとは別の時代の月女神と月神のお話です。


25『囚われの月』
エリオス・シュセイアは、千年前にシュセイル王国を建国した初代王。そのエリオスを暗殺しようとした男がいましたよねー? というわけで、この辺りからこれが千年前のお話だとお気付きになったと思います。
まだ名前の出ない(しかし薄々お分かりだと思いますが)この時代の月神ですが、これでもマイルドな性格になったんですよ……原案では立場が反対で、もっとどうしようもないクソ野郎でした。作者がどうしても愛着が持てず続きが書けなくて、宙ぶらりんになっていた過去の二人の話を、設定を詰める過程で過去から洗い直したら少しはマシになった気が……いや、うーん……彼の結末を見た時まで評価は取っておいてください。


26『首輪』
エリオス初出です。実は先に公開していた落日の薔薇(現在非公開)でもまだ出していなかったので、作者的には非常に感慨深いものがありました。
そして明らかになったこの時代の月女神と月神の名前。セリアルカのご先祖様がアスタヘル・リーネ。アルファルドのご先祖様がルシオン・セシルです。千年前の『』のお話はこの二人を中心に進んでいきます。
ここで出てきた“名無しの王子”との戦いは、落日の薔薇まで続く本シリーズの縦糸となります。ここでは一旦スルーします。
アルファルドが首が絞まるものが嫌いな理由が、今回のタイトルにもある、ルシオンの首に嵌められた三本の契約印でした。(このことからも、かなりルシオンに引っ張られていることが分かると思います)


27
話は現代のセリアルカに戻り。
白い狼のぬいぐるみは、十一年前の事件の時にセラが置いていってしまったものです。月女神の忘れ物ということで、あの頃のまま大事にされていました。
書きたい表現が見つからない時、イメージを膨らませるために音楽を聞くのですが、セリアルカの子供の頃の話を書く時によく聞くのが、セシル・コルベルの『The neglected garden (荒れた庭)』です。借り暮らしのアリエッティの劇中歌なので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。歌詞の中に「私の子供時代をそこに置いてきた」という部分があって、すごくハマってしまいました。
白い狼のぬいぐるみは、置き去りにされたセリアルカのつらい子供時代の象徴なのです。それを抱きしめて眠るというシーンでした。


28
よく寝たと思ったら……。のシーン。
そんな大事なことを何故言ってくれないのか。セリアルカとヒースの中で、アルファルドに対する疑惑が膨らんでいきます。この時点で、ヒースはアルファルドに対して不信感を抱いています。友情に亀裂が入った瞬間でした。


29
月女神の末裔を歓迎して、真冬の森は春のように賑やかです。一見美しい森ですが、セリアルカには常に神隠しの危険が迫っています。
愛され守られていることは理解しているけど、彼に頼り依存することが正しくて安全なことなのか、疑問を持っているのに口に出すことができない。会話ができていない。疑問を持つなんて、自分がおかしいのかもしれない。セリアルカの世界が曖昧になっています。
そして、ヒースとアルファルドの最初の衝突。アルファルドもまた、ヒースに対して強い敵意を抱いています。御印の警告もあり、この場は一旦退くことにしましたが、その結果セリアルカは再び三日間眠り続けることになります。


30閑話Ⅲ『消息』
お久しぶりのリヴォフ団長vsディーンのピリついたお話でした。セシル家三男のヴェイグと次男のデニスが、同時期に首都圏から姿を消したって、これどう考えてもあやしくない???そりゃあフィリアスも笑うしかないですよ。


31幕間Ⅰ『白薔薇』
タイトルに幕間と書かれているお話は、狼たちの裏話か神話が語られます。Ⅰ部ではオクシタニアの神話でしたが、Ⅱ部で挿入される神話は、ヒースの故郷ローズデイル大公国に伝わるものです。(特別編だけ違います)
ローズデイル大公国は千年前に存在したクレアノール王国の西の端に位置します。信仰されるのは、太陽と光の神クリアネル。ローズデイル出身者は光属性となり、治療・浄化魔法に特化しています。

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