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花鳥風齧 歌枕の浅き夢・5更新しました&作中歌解説

https://kakuyomu.jp/works/16817139556526915372/episodes/16817330654225219679

「花鳥風齧」
弘徽殿の悪役令嬢編 歌枕の浅き夢・5を更新しました。

以下作中和歌解説になります。ネタバレにお気をつけください。


◆文語和歌ver
身をこがれ逢へしその夜の明くる間は河にはあらで天の火ぞ欲し

◆現代短歌ver
待ち焦がれ会えたその夜は明けるまで天河を燃やす炎が欲しい

◆訳
身を焦がれるほど待って待ってようやく逢えたその夜は、明けるまでの間、私はずっと、天の川ではなくて(あなたの帰る天の川を焼き滅ぼす)天の火が欲しいのです。

本歌取りの要素が強い和歌で、本歌は「君が行く道の長手を繰り畳ね焼き滅ぼさむ天の火もがも」(万葉集 狭野弟上娘子)
流刑にされた恋人の行く長い旅路を折り畳んで焼き滅ぼしてしまう天の火が欲しい、という歌。
なので廊下が折り畳まれて燃え上がる攻撃が出現します。
「〜夜の明くる間は」という百人一首で聞き覚えのある言葉を使ったせいで「歎きつつひとり寝る夜の明くる間はいかに久しきものとかは知る」(拾遺集 右大将道綱母)の本歌取りにも見えてしまうのですが、すみません、見なかったことにしてください……(一ミリも関係ないです)


◆「梶葉には玉とみえつつわび人の袖の涙の秋のしら露」
「草葉には玉とみえつつわび人の袖の涙の秋のしら露」(新古今和歌集 菅原道真)を二文字変えただけの丸パクリです。BANされろ。

…………

天の火もがなの狭野弟上娘子という人の後日談、
後に恩赦で帰されてくる人がいると聞いて

「帰りける人来れりと言ひしかば ほとほと死にき君かと思ひて」
訳:(流刑から)帰ってくる人が来たよと言っている人がいたので(嬉しすぎて)ほんマジ死んだわ。君かと思って。

と言うわかりみすぎる歌を詠んでいます。
狭野弟上娘子ちゃん、万葉集に燦然と輝くオタククソデカ語彙を残すおもしれー女。
あなた本当に現代オタク女子の万葉集転生じゃない??

なお自分の男は恩赦の対象ではなかったというオチつき。

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