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"旅は竜連れ世は情け"のあとがきと没ネタ

近況ノートの使い方がよく分かっていないので、拙作"旅は竜連れ世は情け(以下旅竜)"のあとがき的なものを書いてみようかなと思います。
ネタバレはないはずです。

"旅竜"は2016年1月から2月にかけて、1ヶ月強で書き上げた自分初の長編です。
なんでこんなタイトル&章タイトルにしたかというと…フィーリング以外の何物でもありません。
"竜と歩けば棒に当たる"と"竜が通れば道理が引っこむ"がなかなか気に入っています。

私は筆が遅い方なんですが、これを書いたときは何かに憑かれたような状態で、振り返ってみれば自分にしては相当ハイペースの執筆になりました。
続き物を完結させたのもファンタジーを書いたのも初めてだったので、色々と勉強になったし感慨もひとしおです。
伏線をバリバリ仕込むのも、後で回収するのも楽しみながら書けました。

終章がすごく長くなってしまって、この章だけで全体の1/3以上を占める構成になってしまったのが反省点ですかね。
読んで下さった方に少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
どこでお礼を申し上げたらいいのか分からないのですが、レビューも書いていただきありがとうございます!
本当に嬉しいです。
 
以下本文中に使わなかった没ネタ置いておきます。

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 夜の森の中。焚き火の光の助けを受け、木の棒の先端を削る。尖らせた先に毒を塗って、狩りに使うのだ。
 枝を股に挟んで固定し、ナイフを振るう。シュッ、シュッ、シュッ、とリズムよく。
 糧のための静かな時間は、少し離れた倒木に座る無粋な竜の、おい小娘、という声で破られる。あたしの没頭に割って入ったジーヴが、いつもの通り尊大な調子で続ける。

「ちょっとこっちに来い、背中を虫に刺されたようだ。具合を見て、膏薬を塗ってくれ」

 彼に聞こえるように盛大にため息をつき、そちらを振り向く。そして、目を見張った。
 ジーヴは上着をすべて脱いで、筋肉質の上半身を夜気に曝(さら)していた。焚き火の灯りが、その隆々と盛り上がった体の表面に、深い陰影をつくりだしている。早くしろ、と青を湛えた隻眼があたしを急かしている。
 自分の頬がかっと熱くなるのが分かった。慌てて彼の剥き出しの肌から目を逸らす。

「なっ、なにいきなり変なもの見せてるんだ! はだ、裸とか……っ」
「変だと? 相変わらず失礼な奴め。だいいちこれのどこが裸なんだ」
「うう……兄さんの裸だって見たことないのに……」

 ちらりと横目で様子を伺うが、ジーヴが服を身につける気配はない。
 それどころか、こちらをじっと見つめて意地悪くにやりと笑う。

「なんだお前、生娘か。見かけによらず初(うぶ)だな」

 繊細さが圧倒的に足りていない竜の男は、不躾にそう言い放った。あたしの顔が、今度は怒りで熱を持つ。

「はあ……!? 結婚もしてないのに、当たり前だろ……!」
「人間の貞操観念には興味がない。早くしろ」
「ああ、もう……」

 あたしの動揺などどこ吹く風、ジーヴは涼しい顔のままだ。あたしは観念した。このままでは、いつまで経っても彼は上着を着ないだろう。ジーヴの裸身がなるだけ視界に入らないようにしながら、泰然と待ちの姿勢を保つ不遜な竜に歩み寄った。

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というのを"旅竜"のどこかに入れようかと思ってたんですが入れられませんでした。
特にオチがなくてすみません。
ここまで目を通していただきありがとうございました。

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