「諦念 短編」を含む小説

言いたいことも言えないこんな世の中なんだよ

　――夢を見ている。 　私が、大勢の人に囲まれて、笑っている夢。 　とても楽しい。 　お酒を飲んで――お酒は得意ではないけれども――食事もして。 　本当に、幸せな夢なのだ。 　ま…

梅雨の始まりを感じさせる湿り気を帯びた冷たい夜の中を、米倉義信は歩いていた。慣れた道を、諦念を抱えて歩く義信は、その道上で鬼と出会う。

辺りにはゴミと吐瀉物が散乱し、貧民街とみまごう有様だ。誰かが窓ガラスを割ったかと思えば喧嘩が始まる。かと思えば酒盛りが開催される。

「今はもう、色々な事を諦めています。」これは「ウチ」が自らの心情を綴る独白の記録。 １０年以上前に書き上げ、己の恥部だと思いお蔵入りにしていた小品(短編小説)の数々を、思うところ…

千文字弱の短編です。千文字で起承転結を描く練習です。 お気に召すといいのですが。

諦念を覚えた青年と、奇癖を繰り返す老人による、不思議な物語。

母はため息混じりに言った。仕事に疲れ、人間関係に疲れ、人生に疲れた女の言葉。誰かを気遣えば損をし、余計なことだと窘められる。その諦念が込められた一言を、息子は聞き逃さなかった。

大手Web会社に勤め26歳で若手トップの成績を誇る真嶺(まれい)は、やっかみ等で男からモテず、毎夜酔うことで寂しさを誤魔化していたが、学生時代は女の子からモテたことを思い出しビア…